ニュースを比較してみるブログ

世にあふれるニュースを報道のされ方を比較、掘り下げていきます。国際、政治、経済を主に取り上げています。やや右寄りの傾向あり。

【ビジネス】ドコモからiPhone販売正式決定、取り扱いは9月20日から

9月6日に“【ビジネス】ドコモがiPhone販売へ・・・今度こそ本当か?”で取り上げましたが、ドコモがついにiPhoneを販売することを正式に決定したようです。9月11日に米Appleと共同プレスリリースを発表、新型iPhoneである「iPhone 5s」と「iPhone 5c」をドコモの回線上でも扱えるようにし、9月20日から販売を開始します。あわせてドコモはiPadの取り扱いも開始する予定で、iPhoneとのセット割引も行うとしています。

 

なお、“ドコモ版iPhone”の販売は、当初、一部のドコモ取扱店舗に限られるとのこと。どの店舗で販売されるか、明らかにされていないが、ドコモ広報によれば「全国のドコモショップ(約2400店)、一般の家電量販店のうち、千数百店舗での取り扱いになる予定」とコメント。具体的な店舗のリストはWebサイトで案内される予定だ。また端末価格、料金体系、サービス、サポートなどの詳細、販売促進キャンペーンの有無なども発表されておらず、13日の予約開始までに、準備が整い次第、案内される見込み。

(ケータイ Watch)

 

iPhoneを取り扱う店舗は限られているようで、詳しい情報はまだ開示されていないようです。ケータイWatchが報じているように、13日の予約開始時に詳しい情報が開示される、とのことです。

 

「出る出る」といわれながらなかなか出なかったドコモのiPhoneですが、とうとう出ましたね。

 

NTTドコモは9月6日、同社がiPhoneを発売する見通しにになったと伝える一部報道について「当社が発表したものではなく、現時点で開示すべき決定した事実はない」とコメントを発表した。

(Yahoo!ニュース“ドコモ、「iPhone販売へ」報道にコメント”)

 

9月6日、NHKや日経の報道に対してドコモが上記のようなコメントを出しており、「やっぱり今回もでないのでは?」といわれていました。たしかに過去、ドコモはiPhoneを出すのでは?とうわさされながらも、厳しい販売ノルマやドコモ独自サービスに対応できないことなどを理由にiPhoneを取り扱ってきませんでした。

しかし今回、ドコモがiPhoneを取り扱うことでモバイル業界の勢力地図が大きく変わりそうです。iPhoneの詳しいスペックや販売スケジュールはほかのニュースにお任せするとして、このブログではドコモがiPhoneを販売することによって起こるであろう業界への影響を考えてみたいと思います。

 

ドコモがiPhoneを取り扱うことで起こりうるもっとも大きなインパクトは、国内メーカーのスマートフォンが衰退することです。

かつてドコモの株主総会で当時の社長であった山田氏は「今年度のスマホの販売計画1300万台の半分以上、アイフォーンを売ってくれと(米アップルに)言われる可能性が高い」と語っています。つまり、社内シェア50%以上を販売ノルマとして課せられる可能性がある、としています。社内シェア50%はさすがに盛りすぎでしょうが、おそらく20〜30%程度の販売ノルマはあるはずです。現在のドコモの年間販売台数はおよそ1600万台と言われていますから、だいたい500万台程度が販売ノルマとして課せられる可能性があります。

それだけのノルマを達成するには他メーカーのスマートフォンに優先してiPhoneをプロモーションすることになります。いくらメーカーががんばっても、実際に販売するのはドコモショップですから、売れ行きはドコモのプロモーションいかんにかかっています。ドコモがノルマを達成すべくiPhoneを優先的にプロモーションするとなると、他メーカーのスマートフォンの売れ行きに響くでしょう。その結果、Apple以外のメーカー、特に凋落著しい国内メーカーは壊滅的な打撃を受けるはずです。

ドコモの親会社であるNTTはもともと公社で、現在も日本政府が株式の3分の1以上を保有しているなかば国有会社です。親会社がなかば国有会社であるとすると、国内産業にマイナスの影響がでるようなことはしにくいはずです。今回のドコモの決定に対してNTTが何らかの対策を打つのか否か、興味深いところではあります。

※あまりのノルマの厳しさにロシアではiPhoneの取り扱いをやめた、というニュースもありました。

 

もうひとつ大きな影響は、ユーザーにとってはうれしいことでしょう。キャリアを自由に選べる、という点です。iPhone向けに提供されるサービスそのものはAppleからの縛りもあり、そう大きくは変わらないでしょうけれども、やはり各社強みと弱みがあります。一番気になるのは料金プランと回線速度でしょう。

料金プランに関しては、Appleからの条件があると思われるため、あまり大きくは変わらないと見られます(とはいえ、ドコモがiPhone市場に参入することで、ソフトバンクがお得意の値下げ戦略に出る可能性は否定できません)。そこでおおきく変わってくるのは回線速度。回線速度は各社のインフラ整備状況が直接響いてきますから、同じiPhoneでも通信速度やつながりやすさが変わってくるはずです。今後はそのような観点でどこのiPhoneを使うか、を選ぶユーザーも出てくるでしょう。

 

さて、今回のドコモiPhone騒動は「本当に販売する」ということで決着がついたわけですが、そこにいたるまでに気になる点がひとつあります。

 

今回、各種新製品の噂が、相当早い段階からメディアにあふれていた。そして部材メーカー等に裏を取ると、信憑性が高いと言えるリークが、相当程度は流通していた。真偽のほどは不明ながら、新型や廉価版、そしてカラーバリエーションについてなど、アップルファンに限らず多く人が、すでに既成事実として語っている。

かつてスティーブ・ジョブズの存命だった頃には、リークが出ただけで取引停止も辞さず、といった厳しい措置さえ辞さなかったアップル。それが今回は、当時と比べて考えられないほどのリークが飛び交っている。下落した株価対策にアップルが自ら情報を流していると揶揄する向きもあるほどだ。

(ダイヤモンド・オンライン)

 

このように、早い段階から信憑性の高い情報がリークされていた、という点です。上記のように、ジョブズがCEOを務めていたころは情報統制が非常に厳しく、新製品が出る際にも発表当日になるまではほとんど何も分からない、ということもありました。ところが今回は「Appleがわざと情報をリークしたのではないか?」と思われるくらいに信憑性の高い情報が数多く出回っていました。やはりジョブズが亡くなって以降、求心力が弱まり業績に響き始めている影響でしょうか。

 

今回の一連の騒動をひもといていくと、興味深い業界事情が透けて見えそうです。

 

 

【ニュースソース】

ドコモ加藤社長「iPhoneの素晴らしい世界をお楽しみいただけると確信」
RBB Today

新型iPhone、上位機種「5S」と廉価版「5C」を発表
MSN産経ニュース

「ドコモのiPhone」は日本モバイル産業にとっての敗北なのか
ダイヤモンド・オンライン

ドコモから新型iPhone登場 iPhone 5S/5Cが9月20日発売決定
ファミ通.com

ドコモを翻弄してきたiPhone 国産スマホ衰退の諸行無常
SankeiBiz

iPhone 5s / 5c のLTE詳細、プラチナバンド対応はドコモ・auから。ソフトバンクは来年
Engadget 日本語版

ドコモ、iPadも販売へ iPhoneとセット割引も
日本経済新聞

Apple、64bitプロセッサーと指紋センサー搭載の「iPhone 5s」を発表 9月20日発売
ITmedia

ドコモ、iPhone販売へ Appleが正式発表
ITmedia 

新型iPhone ドコモの取り扱い発表
NHK

iPhone新機種はドコモでも、9月20日発売
ケータイ Watch

ドコモ復活の狼煙となりうるか iPhone販売
日本経済新聞 

低価格iPhone「5C」など20日発売 ドコモも参入
日本経済新聞

アップル、国内でも新型iPhone発売へ--NTTドコモからの発売もようやく現実に
CNET Japan

低価格iPhone、20日発売=ドコモにも供給-米アップル
時事通信

ドコモもiPhone参入 アップルは低価格版投入
47NEWS

「ドコモの高品質ネットワークとiPhoneで素晴らしい体験を」 ドコモ・Appleトップがコメント
ITmedia

NTTドコモから「iPhone」が登場する
ITmedia

やっぱりキタ! ドコモからiPhone 5s/iPhone 5c発売決定!
ASCII.jp

ドコモが新型iPhoneを20日発売、廉価版も
ロイター

NTTドコモ、iPhone 5cをドコモプレミアユーザー向けに13日から先行予約
CNET Japan

NTTドコモ、「iPhone 5c」の販売スケジュールを発表
ITmedia

NTTドコモ、iPhone 5s、iPhone 5cの取り扱いが正式決定
マイナビニュース