【国際】シリアが化学兵器禁止条約に加入手続き開始、軍事衝突回避か
化学兵器を使用したとして米国から強く非難されていたシリア政府が国連に化学兵器禁止条約への加入文書を提出していたことを国連の報道官は12日に明らかにしました。シリアの条約加盟により、米仏による同国への軍事攻撃が回避される可能性が高まってきています。
シリアの同条約加盟はアサド大統領が12日放映されたロシアのテレビ局のインタビューで意向を明言。しかし米国がシリアへの「威嚇的な政策」をやめることを条件としている。
(47NEWS)
として、条約加入を米国の軍事攻撃回避の交換条件としたい考えのようです。一方の米国は
米国務省のハーフ副報道官は、シリアが化学兵器禁止条約加盟文書を提出したことは、非武装化の代替とはならないとの立場を示し、シリアの化学兵器の国際管理下への移管をめぐるロシアとの協議が続けられている間は、武力行使の選択肢は排除されないと述べた。
(ロイター)
として条約加入が軍事攻撃回避には直接つながらない、との考えを示しています。
この問題は、(1)誰が化学兵器を使用したのか(2)そもそも本当に化学兵器が使用されたのか、のふたつの争点があります。国連の調査団が8月末に現地調査を終え、現在サンプル等を分析、16日には調査団による報告書がまとまる予定、とされています。
ところが、その報告を待たずにアメリカとロシアが動き出しています。
米国はすでに「シリア政府が化学兵器を使用した」と断定、軍事攻撃も辞さない構えです。イギリスとフランスがその方針に同調していましたが、イギリスは議会の承認が得られずに軍事攻撃を取りやめました。
対するロシアは「反政府勢力が化学兵器を保有している証拠がある」と発表、アメリカとの対立姿勢を明らかにしています。
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ロシアのプシコフ下院外交委員長は11日、シリアで反体制派が化学兵器を繰り返し使用した証拠をロシアがすでに国連安保理に提出したと明らかにした。「化学兵器はアサド政権だけでなく反体制派も保有していると見なす根拠がある」と強調。下院は同日、同国が提案した化学兵器の国際管理案を支持する決議を採択した。
これを受けてか、オバマ大統領は軍事攻撃の姿勢は取り下げないものの、外交努力による解決を優先する、との演説を11日に行っています。
オバマ氏は9日、米テレビ各社とのインタビューで、ロシア提案は「大きな打開策になる可能性がある」と表明。シリアのアサド政権が二度と化学兵器を使用できないように検証可能な国際的枠組みができれば、外交解決が「圧倒的に好ましい」と強調した。
もともとシリア攻撃に対してはアメリカ国内でも反対意見が多かったことから、世論に沿った判断といえるでしょう。
こうしてみると、シリアの問題はアメリカとロシアの間の駆け引き材料になっているだけのようにも見えてきます。かつてロシアがソ連だった頃のベトナム戦争や朝鮮戦争のような、よその国を舞台にした代理戦争の様相です。
それだけでなく、シリアの近隣諸国であるトルコ、イラク、ヨルダン、サウジアラビア、ヨルダン、レバノン、イスラエルなどもシリアとの間に利害関係があり、シリアを舞台にした周辺諸国の代理戦争の様相も呈しています。
シリア内戦は、同国の反体制派と政権の対立だけにとどまらない。近隣諸国もそれぞれこの紛争に利害関係を持つことから、地域内のライバル同士や対立する利害間の代理戦になっているとの見方が強い。
(CNN“シリア内戦――近隣諸国の事情”)
このように、シリアを巡る情勢は非常に複雑であり、化学兵器の使用云々だけの人道上の問題だけでは片付けられないものです。難民問題、武器取引問題、イスラム教の宗派間抗争問題、パレスチナ問題・・・これらの問題の根にはユダヤ人とパレスチナ人の間のいわゆる「パレスチナ問題」があるように思います。それを書き出すとややこしくなってしまうのでここでは割愛します。
もともとはシリア国内の民主化運動のはずだったのですが、利害関係が複雑にからみ合いすぎて国内だけでは解決できなくなっている、そんな状態のようです。
【ニュースソース】
シリアが化学兵器禁止条約加入手続き開始
TBS News
シリア、化学兵器禁止条約加盟を国連に申請
AFPBB News
シリアが化学兵器禁止条約加盟へ 国連に申請文書
47NEWS