【政治】山本太郎氏が天皇陛下に手紙で直訴?秋の園遊会での出来事
31日午後、赤坂御苑で開かれた空きの園遊会で、山本太郎参議院議員が天皇陛下に手紙を渡す、というハプニングが起こりました。山本氏の事務所によると、福島第一原発の事故による被曝の現状を訴える内容であるとのこと。この行為に対して宮内庁は困惑しており、陛下に直接手紙を渡す行為は極めて異例としています。陛下は受け取った手紙をすぐに侍従長に渡された、とのこと。
菅長官は「手紙を渡すことがその場にふさわしいかどうか。常識的な線引きはあるのだろう」と述べ、不快感を示した。
(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版)
参院議院運営委員会は、山本太郎参院議員が秋の園遊会で天皇陛下に手紙を手渡したことについて、11月1日午前11時に理事会を開き、対応を協議する。
(時事通信)
このように、政府は山本氏の行動に不快感を示しており、今後の対応を協議する方針です。
対する山本氏は
「常識的には失礼に当たるかもしれないと思ったが、禁じられているとは聞いていなかった」と主張。その上で「陛下を政治利用したことにはあたらないが、どうレッテルを貼ってもらっても結構だ」と強調した。
(ZAKZAK)
としており、陛下への手紙の手渡しが禁止されていることはしらなかった、とした上で今回の行動に問題はない、と主張しています。
こうした一連の動きについて、「天皇陛下を政治利用する行為なのではないか?」と批判する向きもあるようです。
さて、肝心の手紙の内容については
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【政治】臨時国会でNSC法案が実質審議入り、11月上旬に衆院通過目指し
15日に始まった臨時国会は衆参ともに代表質問と予算委員会が終わり、重要法案の本格的な審議に入ります。中でも、賛否両論ある秘密保全法案と密接に絡んでいる国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案の審議の行方が注目されています。NSC法案は自民党が大きな政策の柱のひとつとして掲げている「外交再生」に関係しており、中国・韓国をはじめとする周辺諸国が日本に対する軍事的圧力を強める中、これまでの政権運営で弱体化してきた日本の防衛体制を立て直すために必要な法案です。そのためには官邸の司令塔機能を強化する必要があり、NSCが法的に必要になってくる、というわけです。
NSC、国家安全保障会議とは、Wikipediaの定義によれば
国家安全保障会議(こっかあんぜんほしょうかいぎ、英: National Security Council)は、多くの国家に設置されている外交問題や国防問題、安全保障政策などの審議や立案、調整(武力行使の是非決定)などを行う機関。多くの場合は大統領や首相、内閣に属し、助言などを行う。
とあり、外交や国防を専門的にあつかう機関、と位置づけられています。現在、日本にも「安全保障会議」という組織は存在しており、国防や外交上の重要事項や緊急事態の審議にあたっています。
アルジェリア人質事件を受け、政府・与党内で国家安全保障会議(日本版NSC)創設の機運が高まってきた。邦人の安否確認が難航したことを踏まえ、官邸主導で外交や安全保障にかかわる情報を収集・分析する体制を強化すべきだとの意見が広がっているためだ。海外邦人を保護するための法改正には日本維新の会やみんなの党などで賛成論も出ている。
しかし、今年1月に発生したアルジェリア人質事件で安全保障会議が十分に機能しなかったため、より権限を強化するNSC設置の機運が高まりました。
NSCの設置には賛否あります。
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【政治】消費税8%決定へ、復興法人税の前倒し実施で景気対策
政府が2014年4月から予定通りに消費税を5%から8%に引き上げることを10月1日に発表することが9月30日に明らかになりました。あわせて6兆円規模の景気対策を打つことも発表する予定です。
経済対策として、企業の継続的な賃上げを支援する所得拡大税制、設備投資を促進する投資減税に加え、2014年末に廃止予定だった復興法人税を2013年末に前倒しすることを検討しています。企業の成長を促しそれを賃金に反映させて増税分と相殺する、という考え方のようです。
また、個人向けには住宅ローン減税と低所得者向けの現金支給など、消費税増税のショックを和らげる政策を議論しています。
【復興特別法人税】
- 2013年度末に1年前倒しで廃止することを検討
- 設備投資拡大から賃金上昇、消費拡大の好循環につなげる
- 廃止分の不足は13年度補正予算で穴埋めする方向
- 復興特別所得税は維持する
【賃上げ】
- 経済産業省などで主要企業の賃上げ動向を調査
- 雇用者所得を増やすための税制を拡充。13、14年度中に給与総額2%以上(12年度比)引き上げ企業に減税措置。15年度は3%以上(同)の企業が対象
【投資関連税制】
- 生産性の高い新規設備導入で16年3月末まで費用の全額償却か最低3%の税額控除
- 研究開発促進のため、試験研究費の増加分の最大3割を税額控除
(SankeiBiz)
SsnkeiBizがおおまかに景気対策をまとめています。これらの政策によって増税ショックを和らげ、回復し始めていると思われる日本経済に水をささないようにする方針のようです。
閣議決定案では、経済対策により「デフレ脱却と経済再生に向けた道筋を確かなものとする」と説明。公共事業や雇用対策など5兆円規模の13年度補正予算で増税の影響を和らげ、経済の底上げや成長軌道への早期復帰を目指す。
(中国新聞)
おそらく、これらの経済政策は一定期間が経過した後、解除されるものと思われます。
消費税増税によって得られる税収増と今回行う予定の景気対策分の支出のバランスはどうでしょうか。試算によると、消費税を1%引き上げると約2兆円の税収増になる、と言われています。ということは、消費税を8%に引き上げることで約6兆円の税収増になると見込まれています。それに対して6兆円規模の経済対策を行うのですから、単純にみると差し引き0になる計算です。
ただ、ここで単純に「差し引き0になるのならやる必要がないのではないか」と考えるのは早計です。消費税を増税して他の部分を引き下げる、というのは税収構造を大きく変える、ということを意味します。
所得税や法人税、所得に応じて変動する住民税などは景気に左右されやすい、というデメリットがあります。一方、消費税は5%に引き上げられて以降、約10兆円と税収が安定しています。つまり、政府としてはまず安定した税収を確保することが目的であり、今回打ち出す6兆円規模の経済対策も永続的なものではない、という点に注目すべきです。
復興法人税を前倒しで廃止する、ということは企業の負担を軽くする、ということです。ここがポイントで、法人税を一部引き下げることでそれが社員の賃金増に反映され、結果的に所得増につながることを政府は期待しています。そのため、わざわざ賃金を継続的に上げる企業に対して優遇税制を設定しているわけです。
つまり、市中に出回るマネーの量を増やして消費意欲を高め、そこから安定的な税収を確保する、という狙いが見えてきます。
※復興法人税の廃止によって震災復刻のための財源が減る可能性がありますが、復興特別税は法人税のほか、所得税と住民税にも上乗せされています。ですから、復興のための財源が消滅するわけではありません。
ただ、これはうまく機能しないと悲惨なことになります。廃止された復興法人税分を社員の賃金に還元せず、会社の内部留保として残してしまうことになれば、一般市民に対して税負担だけがのしかかることになります。そうすれば、消費意欲が減衰し、さらに経済を悪化させることになります。こうならないよう、企業が賃上げをするとより有利になる政策を打つ必要が出てきます。
報道では12月上旬までに経済政策の詳細をまとめ、2013年度補正予算と2014年度予算案に盛り込んでいく予定となっています。安倍首相がどんな精度設計をしてくるのか、注目したいところです。
【ニュースソース】
「復興法人税の前倒し廃止」が目玉、政府で行われている「経済政策」議論の内容とは?【争点:アベノミクス】
ハフィントンポスト
税制改正、脱デフレへ企業動かす 投資や賃上げで減税1兆円
日本経済新聞
経済対策5兆円、年末に補正=安倍首相、1日に消費増税表明
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版
減税規模2兆円、与党合意 首相きょう消費増税表明
日本経済新聞
「税制改正大綱」原案明らかに 減税での賃上げ 主要企業検証
SankeiBiz
【政治】「特定秘密保護法案」原案提出、パブリックコメントでは8割が反対
政府は26日、国防や外交に関する機密漏洩に罰則を課す「特定秘密保護法」の原案を自民党のプロジェクトチームに提示しました。与党との調整の後、10月15日から開かれる予定の臨時国会で審議される見通しです。
藤原紀香さんがご自身のブログで紹介し、パブリックコメント投稿を呼びかけていたことで話題となった「特定秘密保護法」、いわゆる秘密保全法。このブログでもそのメリットとデメリットを私見の形で取り上げました。パブリックコメントは9月17日に閉め切られており、26日の政府発表では「8割が反対意見だった」ことを明らかにしています。
一般から意見を募るパブリックコメントでおよそ9万件の意見が寄せられ、このうちおよそ8割が法案に反対する意見だったことを明らかにしました。
(NHK)
この原案のポイントについて、時事通信がまとめていたので引用します。
一、行政機関の長は所掌事務で、特に秘匿が必要なものを特定秘密として指定。
一、行政機関の長は、5年を超えない範囲で指定の有効期間を設定。延長も可能。
一、特定秘密は、指定した行政機関の長の同意があれば利用可能。
一、特定秘密を取り扱えるのは適性評価を受けた者。政務三役や首相補佐官、政令で定める者は例外。
一、適性評価は、テロリズムとの関わりや犯罪歴、飲酒、借金、家族の国籍などについて実施。
一、報道の自由に十分配慮し、拡張解釈で国民の基本的人権を不当に侵害してはならない。
一、特定秘密の取り扱いに従事する者が秘密を漏らしたときは、10年以下の懲役または1千万円以下の罰金。
(時事通信)
各紙報じているように、原案の6項目目に「報道の自由に十分配慮し」と明記されており、懸念されていた報道規制に関しては不安を払拭する形となっています。そのためか、これまで非常に攻撃的だった論調が控えめになっているように感じます。
一方で各紙の見出しを見ると「知る権利」については明記されていない、と懸念を表明している記事もあります。
だが条文がどんな書きぶりになろうとも、危険な本質は変わらない。この法案は「知る権利」などを侵害する根本的な問題をはらんでいる。「特定秘密」の範囲は明確でなく、指定する閣僚ら、行政機関の長の解釈次第だ。
(高知新聞)
日本新聞協会は「特定秘密の範囲があいまいで、知る権利を侵害しかねない」と批判した。報道機関による取材が処罰対象になりうるとの懸念も表明した。
(47News)
これに対し、
法案をめぐっては、過度の秘密主義に陥り、報道の自由が損なわれかねないとの懸念があったが、報道の自由へ配慮を明記した。国民の「知る権利」は明文化しなかったが、情報公開請求が認められた場合は特定秘密を開示することもありうるとの規定を設けた。
(SankeiBiz)
とあるように、「知る権利」を否定するものではない、とする記事も見られました。
「知る権利」については憲法に規定がないことから、盛り込まれなかった。
(時事通信)
このように、「知る権利」についての定義がないため原案には盛り込まれておらず、「今後慎重な議論を要する」としています。
さて、ここまで再三あらわれる「知る権利」とはそもそもなんなのでしょうか?
表現の自由より派生した権利としては、「知る権利」がある。アイザイア・バーリンが著書「二つの自由の概念」で自由は積極的自由と消極的自由があると述べていることと同じく、国などに対して情報の提供を求める権利(積極的自由)と国民が国家の妨害を受けずに自由に情報を受取る権利(消極的自由)がある。
Wikipediaによれば、知る権利とはつまり「情報開示請求権」にあたります。これはWikipediaに記述されているとおり、表現の自由、言論の自由から派生した概念で、比較的新しいものとされています。
国などに対して情報の提供を求める権利としての知る権利は、国民主権の原理に直接に基礎付けられる。国民主権の重大な意味の一つに、「国政の最終決定権を国民が有すること」があるが、最終決定権の行使にはその前提として、判断の材料となる情報が与えられていなくてはならず、これを提供することは国の責務と考えられるからである。
さらにいえば、国民が自分の判断で投票などの政治判断を行う、国民主権のための基本的な条件であるといえます。したがって、そのような政治的判断を妨げる法案は問題であるといえるでしょう。
しかし、ここには「表現の自由」と「プライバシーの侵害」という対立する利害があるように、「情報開示」と「国家安全の侵害」という対立する利害があります。
先日、このブログに書いた私見にある通り、この法案はそもそも「スパイ防止法」として考えられています。その先には日本版国家安全保障局(NSC)の設立があります。外交上、国防上の機密が海外に漏洩することを防止して日本の真の独立を目指すもの、ともいわれています。
※現在の日本は事実上米国の占領下にあり、またスパイを防止する仕組みがないために海外に国家機密が自由に漏洩されている、という状態にあります。これは中曽根政権の時代から問題にされていました。
ただ、それが行き過ぎて本来あるべき国民主権が脅かされる可能性がある点は忘れてはなりません。当方としては、特定秘密法案について「国民主権を侵害しない規定を明記した上で」という条件付き賛成の立場をとっています。
エドワード・スノーデン氏が暴露した米国国家安全保障局(NSA)による個人情報収集問題が話題となりました。しかし、米国世論としては「テロ防止のためにはやむなし」に傾いていたようです。NSCもそのような機能を果たすようになるのでしょうか。もしそうなるとしたら、我々の身の安全と引き換えに、一部の自由を国に差し出すことになります。周辺国、とくに中国と韓国が日本に対して軍事的な圧力を強めてきている昨今、自由をとるか安全をとるか、という局面にたたされています。
【ニュースソース】
国会を骨抜きにする秘密保護法案 政府判断で「秘密会」に
東京新聞
新聞協会、日弁連が反対 特定秘密保護法案
47NEWS
「完全にブロックされている」のは、汚染水ではなく特定秘密保護法案である。
ハフィントンポスト
特定秘密保護法原案 「報道の自由配慮」明記 政府が自民に提示
SankeiBiz
特定秘密保護法原案ポイント
時事通信
秘密保護法案で知る権利は? 政府の意見公募8割が反対論
TBS News
秘密保護法案:「知る権利」明記見送り…政府、自民に原案
毎日新聞
政府が秘密保護法原案を自民に 「知る権利」明記せず
信濃毎日新聞
「報道の自由」明記=秘密保護法原案-意見公募は反対8割・政府
時事通信
特定秘密保護法原案「知る権利」明記されず
テレビ朝日