【国際】香港の「保釣行動委員会」が尖閣諸島に抗議船派遣の方針、しかし・・・
尖閣諸島の中国による領有権を主張する香港の民間団体「保釣行動委員会」が6日、8月に尖閣諸島に向けて抗議船を派遣する方針を明らかにしました。香港のメディアが団体メンバーからの話として報道しています。
日中戦争の発端となった盧溝橋事件からちょうど76年に当たる7日を前に、行動委メンバー約20人は在香港日本総領事館が入居するビルの前で抗議デモを行い、「安倍晋三首相は改憲により軍国主義を復活させようとしている」などと批判。昨年8月に魚釣島へ上陸して逮捕、強制送還された曽健成氏は、抗議船を再派遣するとした上で、中台や海外の「保釣」団体にも合流を呼び掛けた。
(時事通信)
保釣行動委員会は昨年も尖閣諸島へ抗議船を派遣、上陸したことで話題となりました。当時は民主党政権で、中国寄りの政権運営だったためか、
中国との摩擦を恐れた野田政権は、事前に「けが人が出るような強硬手段を用いない」との方針を決めていたため、活動家が上陸する前に強制接舷により抗議船を拿捕しなかった。
と上陸を阻止する方向ではありましたが、対応としては弱いものでした。
自由民主党の佐藤正久議員は、2012年8月22日の参議院決算委員会において、「接続水域では警告、領海に入ったら放水や進路妨害、接舷規制で方向を変える努力はするが、けがをさせるような行動は取らない、また公務執行妨害罪が適用しないといけないような強行接舷や立入りは行わない、それでも上陸を試みる場合は、警察官が待ち構えている場所の近くに追い込んで入国管理法で強制送還」という指示があったことを明らかにした。同年9月3日の参議院決算委員会においては入管の職員が海保の船に乗っていたり、魚釣島にあらかじめ入管の職員が待ち構えていたこと。東海大学の山田教授がテレビ局が撮ったビデオを見たら、どう見ても海保が抗議船を魚釣島の警察がいる地点に誘導したように見えるなどから、初めからある程度シナリオがあったというふうに考えるのが自然だと主張している。
Wikipediaには上記のように記載されており、昨年の尖閣諸島上陸事件がもともとシナリオありきで行われたものだったのではないかとの疑義が呈されました。
翻って現政権、自民党政権は中国韓国に対して民主党政権に比べれば強い姿勢を示しています。今回の抗議船派遣がどのような結果になるか、興味深いところです。
ところでこの「保釣行動委員会」について、興味深い事実があります。真偽のほどはわかりませんが、メンバーのひとりである古思堯氏が反中国共産党運動にも参加している、ということなのです。
この活動家の名は古思堯(66才)である。香港では「社会活動家」として有名な人物だそうだ。若い頃は熱心な中国共産党支持者であったが、1989年の天安門事件をきっかけに反中国共産党に転じ、以後、家族を中国大陸に残し、香港を拠点に様々な抗議運動をしている。
昨年、中国国旗を燃やしたというのもその一環だったようだ。なお、香港での活動では数度の逮捕歴を持つ。
「愛国の英雄」のために「都合が悪い」と考えられる国旗を燃やしている画像は一部の掲示板ではすでに削除済だ。しかし、全てをネット上から消すのは困難だろう。
国旗を焼いた人物が、今度は国旗を立てる。ネット上ではどこかからか資金を得てパフォーマンスとして上陸したのではという憶測まで飛び交っている。黒幕がいたのかどうか真相のほどは定かではない。
保釣行動委員会はもともと、中国のナショナリズム運動として始まっています。したがって、尖閣諸島の領有権主張運動は中国にとっては愛国主義運動と捉えられています。ところが、委員会のメンバーのひとりである古思堯氏は1989年の天安門事件以降、反中国共産党に転じて中国への抗議運動を展開しています。その彼が尖閣諸島領有権運動に参加していることに、さまざまな憶測が飛んでいます。
尖閣諸島は日中間の領土問題ではありますが、そこに古思堯氏のような人物がからんでいるとなると、この問題は単なる二国間の争いとだけは見えなくなってきます。果たして真相はいかに?
【ニュースソース】
「尖閣」抗議船を再派遣へ=昨年上陸の香港「保釣」団体
時事通信
香港の団体 再び尖閣へ抗議船計画
MSN産経ニュース