【ビジネス】EUが中国産太陽光発電パネルに反ダンピング課税11.8%
中国で生産された太陽光発電パネルと太陽電池がEUで不当な低価格で販売さてれいるとして、欧州委は6日、制裁措置として11.8%の反ダンピング課税を課すことを発表しました。当面は11.8%の課税とし、8月6日までに中国側との協議で合意が得られなければ47.6%に引き上げる、とのことです。
EUが中国製の太陽光パネルについて、ダンピングの疑いが強いとして、域内の産業を守るため暫定的な制裁関税を課すことについて、EU域内の業界団体は声明を発表し、「中国によるダンピングによって、域内で60以上の工場が閉鎖になり、数千人の職が失われただけに安どしている」として歓迎しました。(NHK)
中国政府はこれまで、「国内の数十万人の雇用に影響する」などとして関税適用の動きに強く反発。EU加盟各国に対し、反対するよう積極的に働き掛けてきた。(時事通信)
欧州委は5月に通信機器へのダンピング調査開始も決めるなど中国への攻勢を強める一方、猛反発した中国は対抗措置も辞さない構えを示していた。このため多くの加盟国が、輸出や中国に進出する自国企業への影響を懸念。フランス通信(AFP)によると、太陽光パネルへの反ダンピング関税には27加盟国中、英独など18カ国が反対した。(MSN産経ニュース)
このように、記事をざっと眺めると大まかに3つの利害があります。
- EU域内での雇用が中国のダンピングにより失われてしまっている
- 反ダンピング課税が適用されることで中国内での雇用が失われる可能性がある
- 中国からの輸入に頼っているEU加盟国は安い中国製品が入ってくることで経済的に助かっている
1と2はEU対中国の対立構図ですが、1と3はEU内での対立の構図になります。したがって、欧州委はこれらの立場それぞれにとって最良の妥協点を探す必要に迫られるでしょう。
なお、
中国の太陽光パネルはすでに米国からも反ダンピング関税を課せられている。(MSN産経ニュース)
とあるように、米国ではすでに対応策が講じられている模様。
「ひとつのヨーロッパ」を目指して作られたEUですが、昨今の経済危機などでしだいにまとまりを欠いてきているようにも思います。太陽光パネルという一つの製品を巡るニュースですが、その結果いかんではEUの結束そのものに影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
最後に素朴な疑問をひとつ。
ダンピングを疑われるほどの低価格で輸出している中国産太陽光パネル、もしかしたらほんとうにそれだけ安く作れているのではないでしょうか?もちろん、それだけ安いということはなにかしら欠陥がある可能性は十分ありますが、なにせまだまだ人件費の安い中国のこと。本当に低価格で作れる可能性はまったく否定できません。
【ニュースソース】
EUが6日付で中国製太陽光パネルに関税導入、当初11.8%
世界日報
中国太陽光パネルに反ダンピング課税 欧州委が暫定措置
asahi.com
中国、欧州との太陽光発電摩擦の交渉による解決を
中国国際放送
EU:中国製の太陽光パネルに関税-ダンピング問題で
ブルームバーグ
EU、中国製太陽光パネルに反ダンピング関税導入へ=関係筋
ロイター
欧州委、対中反ダンピング関税暫定適用を決定 太陽光パネルに
MSN産経ニュース