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【社会】職場でのパワハラやいじめが過去最高に

厚生労働省は31日、全国の労働局が受けた労働相談のうちパワハラやいじめに関する相談が過去最多になった、と発表しました。労働相談にもちこまれた相談25万4719件のうち、パワハラやいじめに関する相談は5万1670件でトップとなり、これまでトップだった解雇に関する相談は2位になりました。

 

センターによると、08年のリーマン・ショック後からいじめ問題も含め相談が急増。昨年は7775件の相談が寄せられたが、同僚からのいじめも増えている。センターの須田光照副理事長は「いじめの増加はメンタル疾患の急増にもつながっている。競争が激しくなる中、子供のいじめのように『いじめなければ自分がいじめられる』という感覚で広がるケースもあり、異常事態」と話す。(毎日新聞)

 

パワハラ問題に詳しい職場のハラスメント研究所の金子雅臣代表理事は「企業の競争が激しくなって余裕がない職場が増えていることが、相談件数が増えている背景にあると思う。また、非正規など多様な雇用形態の人が職場に増え、正社員との間で意識のギャップが生まれているため、パワハラが多様化している。しかし、何でもパワハラと言われると指導する立場の人は萎縮してしまう。管理職と部下がパワハラの共通認識を持ち、コミュニケーションを深めることが大事だ」と話しています。(NHK)

 

パワハラ、いじめの件数増加に関しては3つの側面が考えられます。

1)実際に件数が増えている、という見方。これについてはNHKが指摘しているように、職場内での余裕のなさがいじめやパワハラに向かうのだ、というのは正しいと思います。事実、「日本には自殺したくなるほど仕事があり、自殺したくなるほど仕事がない」などといわれ、仕事の配分が極めて偏った状況にあるからです。毎日低賃金で遅くまで働く人がいる一方、まったく職にありつけずに困窮していく人もたっくさんいます。

2)実際の件数の増減に関わらず、相談にいきやすい環境になってきた、という見方。おそらくこれまでもいじめやパワハラはたくさんあったでしょう。ただ、それを相談できる場所がなかった。それが昨今各所で問題になるようになり、相談できる場所が増えて明るみに出るようになってきた。そうすると、集計にも含まれるようになりますから、数字上は増えたように見える、というわけです。

3)受取手の問題です。セクハラでよくいわれるように「50歳の上司から「かわいいね」といわれるとセクハラだがイケメンの同僚からいわれるとデートの誘いになる」といったように、客観的にみてどうか、というよりもそれを「本人がセクハラと受け取るかどうか」が重要になってきます。いじめやパワハラに関しても、従来はパワハラと受け取られていなかったことがだんだんとパワハラと受け取られるようになってきた、と見ることもできるでしょう。

 

統計の数字を検討するとき、その変化には様々な理由があることを忘れてはいけません。でないと、見当違いの対策を打ってしまうことになりかねません。

 

 

【ニュースソース】

バカ呼ばわり、人前で叱責…パワハラ相談、過去最多の5万件超
SankeiBiz

「労働紛争解決」の相談、パワハラ初のトップ 5万件超
asahi.com

いじめ・嫌がらせトップ 12年度労働紛争、解雇上回る
中国新聞

「パワハラ」労働相談で初の1位…「解雇」抜く
読売新聞

パワハラ相談5万件超 過去最多
NHK

労働相談「いじめ・嫌がらせ」トップ 12年度、件数は横ばい
日本経済新聞

パワハラ、初のトップ=解雇上回る—12年度労働紛争相談
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

Listening:労働相談:パワハラ最多 「解雇」抜き初、同僚のいじめも
毎日新聞

いじめ、過去最多
中日新聞