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【政治】石破幹事長の「戦争に行かない人は死刑」発言の真相

東京新聞の7月15日付朝刊に“平和憲法に真っ向背反 石破幹事長の「軍法会議設置」発言”と題する記事が掲載されました。ネットに広く出回っており、自民党による日本の軍事国家化なのではないか、と憶測をよんでいるようです。

 

自民党は同党の改憲草案で、憲法九条を変更して自衛隊を「国防軍」にすることを掲げた。それに伴い、国防軍に「審判所」という現行憲法では禁じられている軍法会議(軍事法廷)の設置を盛り込んでいる。防衛相の経験もある同党の石破茂幹事長は四月に出演したテレビ番組で、審判所設置に強い意気込みを見せた。「死刑」「懲役三百年」など不穏な単語も飛び出した石破氏の発言とは-。

東京新聞

 

東京新聞の記事によると、石破幹事長は現行憲法では設置の認められていない「審判所」いわゆる軍法会議の設置を強く求めている、とのこと。憲法9条の改正にともない、自衛隊が国防軍になったあかつきには、審判所を設置し、命令に従わない隊員に対して最高で死刑もしくは300年の禁固刑もありうる、と発言したとしています。

 

『これは国家の独立の為だ、出動せよ』と言われた時に、いや行くと死ぬかも知れないし、行きたくないという人がいないという保証はどこにもない。だから国防軍になったらそれに従えと。それに従わなければその国にある最高刑がある国なら死刑。無期懲役なら無期懲役。懲役300年なら懲役300年。そんな目に逢うなら出動しようかと。人を信じないのか、と言われるけど、やっぱり人間性の本質から目を背けちゃいけない。

東京新聞

 

この発言をもって、「戦争に従軍しない人、つまり兵役拒否した人も死刑か懲役300年になる」と強く批判している方が多々いらっしゃいます。

果たして本当にそうなのか?どうも疑問が残るところです。というのも、石破氏は確かに国防軍設置には賛成していますが、徴兵制には反対しているからです。

 

一方で徴兵制導入への反対を主張しているのは、ハイテク兵器が活用される現代の戦争において、兵器の扱いに慣れない素人の一般国民を戦闘員として参加させた場合、デメリットの方がはるかに大きいという理由による。

Wikipedia石破茂”)

 

このように、現代兵器は高度にハイテク化されており、訓練の乏しい民間人をいきなり戦闘員にしたからといって、戦地では役に立たずかえってデメリットになる、として徴兵制に反対しています。もちろん「人道的な理由からの反対ではない!」という批判もありそうですが、殺すか殺されるかの現場に足手まといの民間人を投入しようという方がよっぽど非人道的です。

 

さて、この東京新聞の記事、本当なのでしょうか?

調べてみたところ、どうやら東京新聞の拡大解釈、歪曲解釈が入っているのではないか、という指摘があちこちにみられました。そのなかでも大きく取り扱っていたJ-CASTニュースから一部引用します。

 

確かに石破幹事長は、軍事法廷の設置と、その最高刑として死刑もありうる、との見解を示している。ただし一部の人々が誤解しているように、これは「兵役拒否=死刑」という話ではない。すでに自衛隊(国防軍)に入った人のみが対象だ。
ちなみに石破幹事長は、2010年のブログで、自衛隊がいずれも「複雑かつ精密なコンピューターの塊のような装備・システムで運用されて」いることなどを理由に、「玉石混交」の人材を集める徴兵制にははっきり反対を明言している。

(J-CASTニュース)

 

J-CASTニュースは、たしかに石破氏は軍法会議の設置を考えていることを認めていますが、一方でそれは兵役拒否に対する罰則強化という意味ではない、ということを指摘しています。軍法会議とはあくまで軍の内部での命令系統維持のためであり、一般市民に対しては何ら効果を発揮するものではない、ということです。

民間企業でも命令に従わなければ何らかの罰則は在りますし、それが著しい場合は「特別背任罪」に問われることになります。石破氏の語った罰則に比べるとだいぶ軽いものではありますが。

ちなみに、私個人としては国防軍の設置に賛成です。周辺国が軍事的圧力を強めてくるなか、日本だけが丸腰でいるのは「侵略してくれ」といっているようなものだからです。自分の身は自分で守れるようにならないといけない。

国防軍の設置が「日本が侵略戦争をしかける国になる」から反対という方がいらっしゃいます。それにも一理あるとは思います。一方で軍の設置は「戦争をしないため」でもあるのだと私は考えます。強力な軍隊がある、だから周辺国は攻めてこない、結果戦争には発展しない、という戦略的な意味があります(「戦略」とは「戦うことを省略する」、つまりなるべく戦わないようにする、ということです)。永世中立国であるスイスは強力な軍隊を持つことで中立を維持してきました。軍隊を持たないから中立国でいられたわけではないのです。

 

それにしても4月に放送した番組の発言を今になって大きく取り上げるというのもいただけない報道の仕方ですね。明らかに参院選に向けた自民党のネガティブキャンペーンととられてもおかしくない報道です。

 

 

【ニュースソース】

平和憲法に真っ向背反 石破幹事長の「軍法会議設置」発言
東京新聞 ※リンク先は記事画像

「戦争に行かない人は、死刑にする」 石破幹事長はこんなバカな発言をしたのか
J-CASTニュース

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