【国際】韓国・朴大統領が中国で演説、領土問題と歴史問題で日本けん制
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は29日、中国・北京の清華大で演説をおこないました。中韓自由貿易協定(FTA)の重要性を強調し関係の深さをアピールする一方、中国と利害が一致する歴史認識問題や領土問題を取り上げ「歴史と安全保障問題を取り巻く対立と不信」があると指摘しました。直接名指しはしなかったものの、日本を念頭においた発言と見られています。
大統領は今回の訪中で、日本の歴史問題を巡って中国と連携を図る姿勢が目立った。
(読売新聞)
読売新聞が報じているように、領土問題では尖閣諸島を狙う中国と竹島を狙う韓国、歴史認識では南京大虐殺や731部隊を問題視する中国、従軍慰安婦を問題視する韓国、と利害が一致している部分で、韓国側から中国にすり寄っていく形となっているようです。
ただ、この訪朝がどこまでうまくいくかには疑問があります。
核開発を進める北朝鮮に対しては「核保有を認めないとの国際社会の一致した声に耳を傾けなければならない」とあらためて核放棄を要求した。
(静岡新聞社)
核開発を進める北朝鮮に対しては「核保有を認めないとの国際社会の一致した声に耳を傾けなければならない」とあらためて核放棄を要求した。
(MSN産経ニュース)
北朝鮮に対して核兵器放棄を訴えていますが、核兵器を保有している中国でこのような発言をすることは、大量の核兵器を保有する米国が同じく核兵器を保有するロシアに対して「核武装をやめよ」と言っているようなものです。国際的に問題視されている北朝鮮を名指ししているために一定の説得力がありそうではありますが、中国から発信する内容としてはちぐはぐな印象が否めません。
また、歴史認識問題に関連して、
朴大統領は28日の習主席との昼食会では、初代韓国統監だった伊藤博文元首相をハルビンで暗殺した朝鮮半島出身の安重根について「韓中両国民にとって尊敬すべき歴史的人物だ」と称賛。中国での記念碑設置の協力を要請し、習主席は「関係部署に検討するよう指示する」と回答したという。
(MSN産経ニュース)
伊藤博文を暗殺した安重根を英雄に仕立て上げる考えを示しています。
伊藤博文は日韓併合後の初代韓国統監でした、韓国側としては自国を侵略した悪者、とされています。実際の所、伊藤博文は日韓併合には反対の立場を取っていたとされています。また、当時の韓国は近代化改革を行おうとして失敗しており、韓国の近代化は日韓併合後の日本政府が行ったようなものでした。
日韓併合前後の韓国の変化については“朝鮮人を飢餓と内乱から救った、大日本帝国”に詳しい写真が掲載されています。
こうした事実がある一方、中国や韓国の欧米に対するロビー活動は日本よりも強力であることは認めざるを得ません。たしかに中韓の日本に対する軍事的挑発行動は米国から警告を受けていますが、歴史認識問題については米国にもその支持者がおり、外交的に苦戦することもままあります。表立った行動もそうですが、日本はより欧米に対するロビー活動を強めるべきだと、私個人は考えます。
【ニュースソース】
北東アジア「葛藤と不信で不安定に」 朴大統領が演説
asahi.com
韓国・朴大統領、北東アジア情勢について協力進んでいないと指摘
FNN
朴大統領「歴史・安保で対立と不信」 日本念頭に演説
MSN産経ニュース
日朝念頭に「葛藤と不信」=歴史・安保で情勢不安定-韓国大統領、北京で演説
時事通信
“中韓蜜月”演出し日朝牽制 朴大統領演説「歴史・安保で葛藤と不信」
MSN産経ニュース