【国際】ニジェールのウラン鉱山に自爆テロ、フランスへの報復
アフリカ中部にあるニジェールのウラン鉱山をイスラム過激派武装集団「西アフリカ聖戦統一運動(MUJAO)」が襲撃した、というニュース。フランスの原子力大手アレバが開発しているウラン鉱山です。
ロイター通信によると「北部アガデズの軍施設で同日早朝、爆弾を積んだ車が爆発。この後、武装集団と兵士らの銃撃戦となった模様」とのこと。メディアによって死亡者数はまちまちですが、およそ10〜20名の死者が出たようです。
MUJAOは犯行を認め、次のような声明を発表しました。
ジハード派の「ムジャオ」と名乗るイスラム武装組織のスポークスマンが「イスラムの敵に対する2つの作戦を実行した」と話したと報じています。さらにスポークスマンは、「マリ北部でイスラムへの戦争を起こしたフランスと、協力するすべての国への攻撃を続けることになるだろう」とも話したということです。(テレ朝ニュース)
自爆テロの背景にはアフリカのマリ共和国で発生したクーデターに対するフランスの軍事介入があるようです。
アフリカのマリ共和国では前年の2012年3月に首都バマコでクーデターが発生。複数のイスラム過激派によるマリ北部の制圧が進み、マリ暫定政府の統治は南部に限られていた。国連安全保障理事会は2012年12月に、国際部隊による軍事介入を認める決議を採択しており、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は合同軍の派遣を決めている。
2013年1月、北部の過激派が南部(注:首都バマコは南部にある。)に向かって進攻をはじめたことから、旧宗主国のフランスはマリ政府の要請を受けて、2013年1月11日にマリでの空爆を行いマリへの軍事介入を開始した。米国もこれを支持している。
1月11日、マリのトラオレ暫定大統領は、全土に非常事態を宣言。フランスの軍事支援を受けたマリ政府軍は、1月11日、過激派が占拠する中部の戦略的要衝を奪還したと発表した。
武装勢力側は、リビア内戦の際にリビアから流出した武器などで武装している模様で、予想以上に近代的な兵器を使いこなしているという。
フランス軍は1月12日も空からの攻撃を続け、1月13日には初めて北部地域(主要都市ガオなど)を空爆した。また、マリの北に位置するアルジェリアは、1月13日、仏軍機の領空通過を承認した。
1月16日、フランス軍は地上作戦により、中部ディアバリで武装勢力と交戦に入った。
フランス軍は西アフリカ諸国の軍と協力して、マリ北部のイスラム過激派武装勢力の拠点を次々に制圧した。2013年2月1日までに北部の要衝キダルをほぼ制圧し、これで北部の主要都市は全て奪還した。
過激派の大部分が砂漠地帯に逃走したとみられる。
今後は周辺国で構成される8千人規模の多国籍部隊に軍事作戦を引き継ぐ方針だという。
さらに、この軍事介入の背景には原発大国フランスがニジェールにもっているウラン鉱山を保護したい、という思惑もあります。ニジェールのウラン鉱山から産出されるウランはフランスのウラン燃料の三分の一以上をまかなっているため、ニジェールのウラン鉱山はフランスの原子力行政にとって非常に重要な位置づけになっています。
MUJAOはそこに目をつけたのでしょう。声明にも出しているように、明らかにフランスへのイスラム勢力からの報復です。
因縁が強いだけに、激しい軍事衝突に発展する可能性も懸念されます。
【ニュースソース】
ニジェールの仏ウラン加工施設などに爆弾攻撃、マリ武装勢力が犯行声明
AFPBB News
ニジェール:ウラン鉱山と軍基地で自爆テロ 21人死亡
毎日新聞
連続爆弾テロ、20人死亡=軍基地とウラン鉱山狙う-ニジェール
時事通信
ニジェール北部、仏企業施設と兵舎で自爆テロ
TBS New
ニジェールで爆破テロ10人死亡 仏企業ウラン鉱山など
朝日新聞
ウラン施設に自爆テロ ニジェールで報復か
MSN産経ニュース