【私見】災害ボランティアへの参加態度について:山本太郎氏の例
先日の台風26号で大きな被害を受けた伊豆大島。災害復興のためのボランティアが現地入りし、復興作業の手伝いなどが行われています。そんな中、現職の参議院議員が災害ボランティアとして参加。しかし宿泊場所が確保できないとして現地の方に「宿泊場所を無償提供せよ」と迫ったとして話題になっています。
この話題を投稿したのは災害復興ボランティアの「TEAM4U」を運営している竹田亜理砂さん。ご自身のFacebookにてそのときの様子を投稿しておられました。一部を抜粋します。
※現在、竹田さんの投稿は削除されているようです。記事末に全文を転載しました。
「 ボランティアが寝る場所がないって言っているじゃないか!!!宿泊料金が高くて泊まれないって!!!今、町長に、ボランティアたちが無料で寝る場所を確保しろって言ってきたからな!!! 」
(中略)
あら?知った顔ですね。あの議員さんでした。
あー、そーなの?
「 こんにちは 」とあいさつをしてみた。
上から一睨みされて、無視された。
あのぉ、、、わたしもボランティアなんですけど???
(竹田亜理砂さんのFacebook投稿より)
「あの議員さん」が、今年7月に行われた参議院議員選挙の東京選挙区で当選した山本太郎氏である、とされています。事実、山本氏は該当する機関に大島にボランティアにいっていたことをオフィシャルFacebookで投稿していますので、断定はできませんが確度の高い情報と思われます。
大島社会福祉協議会の災害ボランティアセンターは当初、警視庁や消防庁などの救助活動を優先するためボランティアを制限していた。島外からの問い合わせが相次いだことを受け、20日すぎから、宿泊先を確保できた人に限り、受け入れることを決めた。
(MSN産経ニュース)
このように、大島はもともと、ボランティアの受け入れを「宿泊先を確保できた人に限り」という制限を設けていました。ボランティアはあくまで外部からのリソースの注入であり、それによって現地のリソースを食いつぶしてしまっては本末転倒です。
これは東日本大震災の際にも問題になりました。ボランティアは自分で宿泊、食糧、燃料などを確保できることが条件とされ、それが足りないからといって被災地の人に助けられるようなことはあってはなりません。
- 泥出し・瓦礫の撤去作業は想像以上の肉体労働だった
- 土地勘の無い人は、目的地にたどり着くだけで大変
- 正直、全力でやると1日でダウンする
- ボランティアの多い避難所で体力の無い人へのコミュニケーションは逆に迷惑がられた
- 装備が足りず怪我をする(釘を踏むなど)
- ボランティア保険に加入手続きをしてないと参加できないことがあった
- 場所がわからない、ナビにあるはずの道がない作業の移動車に置いてかれてしまうことがある
このように、装備不足や土地勘のなさによって現地の方に助けられ、かえって迷惑をかけた例も多々ありました。私は東秘本大震災の際、仙台市内におりましたが、被害が比較的軽微だったためか、復旧ボランティアの方は見かけませんでした。そのかわり、現地の工務店の方々や電気工事、水道工事の業者さんなどが地震の翌日から動き出してすぐに復旧活動に入っていました。
一方、学校に勤務していた友人から聞く所によると、「送られてくる救援物資にはゴミも含まれており、その選別に労力がかかりすぎた」「物資を送ってもらえること自体はありがたいのでなかなか文句がいえない」と強いストレスを感じていたようです。「やってもらうこと自体はありがたいので少々の迷惑は我慢しなければ・・・」と現地の方は感じており、ボランティアに現地の方々が気をつかってしまう、というおかしな状況が生まれていました。
さて、翻って山本氏の行動ですが、こうしたボランティアの基本的な行動原則から大きくはずれていると言わざるを得ません。というよりも、そもそも議員が現地にいって作業をする必要があるのでしょうか?むしろ議員の力を使って人と金を動員し、それを現地に送り込む努力をした方がより効率的なのではないでしょうか?
「行動する議員」と賞賛するコメントがたくさんある山本氏のFacebookページですが、当方からみれば議員という権力の使い方を十分わかっていない人のように見えてしまいます。むしろ現地にいってボランティア活動をする、ということを見せて人気を集めようとしているようにしか見えません。
ただ、山本氏に悪気はないと思うのです。もともとの山本氏は非常に正義感の強い、純粋な人なのだと思っています。しかし、純粋であるがゆえに無知だった。そこにつけこまれ、極左政治団体である中核派に取り込まれ、いつの間にか極めて左翼的な政治思想をもつ人になってしまった。これは非常に残念なことです。もともとは「原発反対」という理想を掲げて国会に乗り込んだわけですが、その政策のほとんどが社民党と変わらず、としたら社民党の独立部隊にすぎなくなってしまいます。
くわえて、山本氏はすぐに大島に駆けつけましたが、彼が本筋としている福島第一原発事故の収束ならびに東日本大震災の復興活動に関してはどうなのでしょうか?とりあえず目先の、目立つ所に飛び込んでいった、というようにも見えてしまい、なにやら行動のあざとさを感じます。
※ただ一方で、災害時だということで商品やサービスを極端な高額で販売する業者がいることも事実です。山本氏と見られる人物が「宿泊料金が高くて泊まれない」と言っているところの宿泊料金はどれくらいだったのでしょう?それを無償提供せよ、というのはさすがに無茶な相談とは思いますが、かりにいわゆるぼったくり料金で運営していたのであれば、そこは問題視しなければなりません。ちなみに、東日本大震災の際、私が見聞きした範囲では、通常100円程度で売られているペットボトルの水がとあるコンビニでは500円で販売されていました。値段を聞いた瞬間に怒りが湧いたのですが、こちらとしても必要なものですし、やむを得ず購入した経験があります。ですから、今回の件、すべての状況を見なければ、単純に「山本氏が悪い」とは言い切れない部分もあることは確かであること、最後に書き添えておきます。
【ソース】
【伊豆大島】 「宿泊料金が高い!無料で泊めろ!」 島外ボランティアと“あの議員”の高圧に住民困惑
痛いニュース
山本太郎が伊豆大島でボランティアたちが無料で泊まれる場所を確保しろと高圧的な態度を取って顰蹙を買っている!
ゲラゲラ.com
ボランティアは宿泊先確保が必要、移動手段も不足
MSN産経ニュース
最後に竹田さんの投稿の全文をここに転載します。
【伊豆大島の今~島外ボランティアさんのワガママと島外議員さんの高圧~】
伊豆大島から帰りました。
町の空気感などを五感で感じながら。
最終的には、社会福祉協議会の局長さんともお話とお顔合わせをさせていただきました。
お話させていただいている途中で。
「 ボランティアが寝る場所がないって言っているじゃないか!!!宿泊料金が高くて泊まれないって!!!今、町長に、ボランティアたちが無料で寝る場所を確保しろって言ってきたからな!!! 」
と、怒鳴り込みに来た方がいらっしゃいました。
・・・なんだろう。
伊豆大島でのボランティアルールは、「 宿泊場所を確保できる人 」が前提。
宿泊料金が高くて長く滞在できない・宿泊場所の確保が出来ないのであれば、後から来るボランティアさんたちに託して、自分はお暇するしかない。
それが、伊豆大島の町のルール。
そのルールを抜本から覆そうとする、この怒鳴っている方は、島のことや島に住む方々の気持ちを何も知ろうとさえしていない。
ボランティア優先ではないのが被災地。
この場で、一緒に一から勉強会を開こうかと思って、声の主の顔を見ると。
あら?知った顔ですね。あの議員さんでした。
あー、そーなの?
「 こんにちは 」とあいさつをしてみた。
上から一睨みされて、無視された。
あのぉ、、、わたしもボランティアなんですけど???
泊まる場所も確保させていただいていますし、料金がどうのこうのなんて言いませんけど。
彼のことを好きとも嫌いとも考えたこともなかったけれど、この人、ダメだなということがすごくよくわかった。勉強会を一緒にやる価値がないと感じた。
選挙前とかは、あんなに熱意あふれる感じだったのに、そりゃ、俳優さんもしていたんだから演技もうまいよね。こういったところで、人の本音って出る物だと感じました。
なんで、こういったルール外のことを議員さんが社会福祉協議会さんに怒鳴ってきたり、町長にあーしろこーしろと言ったりするのだろう。
町の議員さん達で話し合ったことであれば、わたしが口を出すべきではないけれど。彼は、町の議員さんではない。
スーツとか場違いなスタイルではなかったけれども、それは外見だけで、中身は、被災地に黒塗りの車で悠々と来る議員さんだと、よくわかった。被災地は、今、伊豆大島に入ってくれている島外からのボランティアさんたちの自己実現のために存在するのではない。
彼らの自己実現のために、島の方々の生活や心労、疲労、経済がどれだけダメージを受けるか考えると、非常に悩ましい問題である。
島の方々の生活が、島の方々主体であれるよう、宿泊施設を確保してあり、伊豆大島のことをきちんと知った上で活動に入ってくれるボランティアさんが必要だなと感じました。
今のままでは、非常に良くないですね。
そんな中でも、きちんとした学生ボランティアさんたちもいるのだ。
彼らは懸命です。
無理しすぎず、大人数では入らず、細く長く、バトンタッチのようにしていくようです。
島のルールを変えようとはせず、誠意を持った志です。
大人の俳優だった議員さんや、今、宿泊料金が高いとか宿泊先を確保出来ないまま突撃してしまった大人のボランティアたちのほうが、学生さん達よりも情けないとは、いかがなものだろうか。