【ビジネス】中部電力が首都圏の売電会社を買収、電力小売りの自由化にらみ

中部電力が7日、三菱商事系の特定規模電気事業者である「ダイヤモンドパワー」を買収し首都圏での電力販売事業に乗り出すことを正式に発表しました。2016年をめどに開始される家庭向けの電力小売り自由化をにらみ、首都圏での電力販売のあしがかりにするとみられています。これまで、一般需要者向けに電力を販売している9つの電力会社（北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力）はそれぞれの管轄地域を超えた電力販売を行っておらず、事実上の地域独占状態でした。今回の中部電力の首都圏進出により、東京電力と直接競合するため、その独占状態に風穴があけられる形となります。

東京電力や中部電力などの9つの一般電気事業者の他、今回買収されるダイヤモンドパワーのようにある特定の条件下で電力の販売を認められている特定規模電気事業者や特定電気事業者といった電力販売事業者があります。

ダイヤモンドパワーは企業の自家発電設備から余った電力を買い取り、工場や事務所ビルなどに小売販売している。

（日テレNEWS24）

このように、これらの事業者は販売できる需要者の規模や販売できる電力量に制限がかけられているため、一般電気事業者とは直接競合はしませんでした。そのため、昨今話題になっているように、東京電力による首都圏の電気料金の値上げなど、価格が事業者都合で自由に設定できるような状態にありました。

そこへ直接競合する中部電力が参入する、となると市場競争が発生し、市場原理がはたらいて適正価格に落ち着いていくものと見られます。これは消費者にとって嬉しいニュースでしょう。

東電は原発事故の対応に膨大なカネがかかるため、管内の電気料金は高い水準で推移するとみられる。一方、原発の比率が低い中部電は値上げを実施していない。「東電が高い電気しか売れないなかで東電の管内に入り込み、より安い料金で大口の顧客を抱え込むチャンス」（関係者）というわけだ。

（ZAKZAK）

東京電力による電力値上げには強い反発がありました。そのため、一部の消費者の間では電力を自給する手段として太陽光パネルを設置する、蓄電装置を設置する、などの対策をするひとびともあらわれています。極端な例ですと「電力を完全に自給できるようになったので電力会社との契約をすべて打ち切った」という猛者もあらわれています。もちろんそこまでできるのは知識と財力のあるひとに限られるため、今回のような市場原理による価格の適正化は一般のひとびとの望むところだろうと思います。

とはいえ、中部電力自身もそれほど経営が安定しているわけではありません。