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【社会】非正規雇用が2000万人超える、総務省調査

総務省は12日、2012年の就業構造基本調査の結果を発表しました。調査結果によると非正規雇用の総数は2042万人と前回2007年の調査から152万人増加し、過去最高となりました。雇用社全体における非正規雇用の割合は38.2%、これも過去最高となっています。2007年から2012年の間に正規雇用から非正規雇用に移った割合は40.3%と前回調査から3.7%増加、対して非正規雇用から正規雇用に移った割合は24.2%と2.3%減少。非正規雇用が増加している現状を浮き彫りにする結果となったようです。

 

この結果、雇用者全体のうち正規労働者は121万人減少する一方で、パート・アルバイトは101万人、契約社員は65万人それぞれ増加。リーマン・ショック後の景気悪化時に「派遣切り」が社会問題化した派遣労働者は42万人減った。

日経新聞

 

調査結果によると、過去5年間の転職者の傾向は、正規労働者から非正規に移った割合が上昇しているのに対し、非正規から正規へ移った割合は減っており、雇用の不安定化が一段と進んだ

(毎日新聞)

 

非正規雇用の拡大によって雇用が不安定化している、というのは真実の一側面です。一般的に「雇用が不安定」というのはあまり良いイメージでは捉えられません。「雇用されている側にとっていつクビになるか分からない」という不安につきまとわれるからです。しかし、これはあくまで雇用される側からみた場合。雇用する側から見ると、例えば大多数がパートタイマーで成り立っているようなスーパーやコンビニなどの小売業からすると、繁忙期に合わせて自在に労働力の最適化を行うことができる、という経営上の大きなメリットがあります。

 

<使用者側(雇う側)のメリット・デメリット>

メリット

  • 自分の都合に合わせて仕事の時間や期間を調整できる。
  • 副業・兼職(ダブルワーク)がやりやすい(正社員には従業員の副業を禁止しているところが多い)。
  • 現場によっては、特別の技能がなくてもできる単純作業の場合もある。
  • 多くの企業に触れて経験を積むことができる。
  • すぐに代替の人材が確保できるため、採用されやすい(採用の際に厳しい審査がされないことが多い)。

デメリット

  • 時給に換算した場合の賃金が安いうえ、賞与が出ない。
  • 正社員と同じ環境の仕事であっても、低賃金である。
  • 勤続年数が増え、仕事の能力が上がっても昇給はほとんどない(=使用者にしてみれば人件費を抑制できる)。
  • 退職金が払われないか、正社員よりも低い。
  • 常に自分自身でスキルアップをはからねばならない。
  • 雇用形態が短期契約のため、将来への展望が不安定。
  • 若いうちは良いが、年を取ると選べる仕事がなくなっていく。
  • 短期契約ゆえに単純作業しか割り当てられない場合が多く、職歴になりにくい。
  • 短期雇用かつ低賃金であるため、数百万円から1千万円以上を要する住宅・自動車ローンなどの借り入れが不可能。

 

<被雇用者側(雇われる側)のメリット・デメリット>

メリット

  • 需要や収益の変化に対応した調整を、職員の増減で行いやすい。
  • アメリカ合衆国では多くの企業であらゆる従業員を容易にレイオフ可能である。
  • 日本は正社員の賞与などの賃金や残業代などの労働時間で調整する傾向が強い。
  • フランスでは解雇制限がある。
  • 時間あたりの賃金が安く、退職金や社会保険料を払わないことも多いため、人件費を・抑制しやすい。
  • 社員の教育費が削減できる。

デメリット

  • 知識・技術を社内に蓄積しづらい。製造業では熟練工、サービス業ではいわゆるベテランが育ちにくい。特に派遣社員は社外の人間のため、派遣先企業や所属事務所が異なる派遣社員同士で情報交換などは必要ないため。
  • 正社員と比べ会社に対する忠誠度・責任感が低い(特に派遣社員は、派遣先の社員ではないため、他社の人間の派遣社員へ忠誠度・責任感を求めること自体ミスマッチといえる)。

(Wikiipedia「非正規雇用」)

 

 

Wikipediaが列挙しているように、必ずしも非正規雇用=悪いことではなく、さまざまなメリットやデメリットがあります。各紙とも「雇用の不安定化は悪いこと」という論調、もしくはイメージで語っているように感じますが、本当にそうなのか?をきちんと考える必要があると、私は考えます。

 

たとえば「ブラック企業で正規社員になることは良いことか?」という問題があります。正規で雇われてはいますが、安い賃金と長時間労働で心身の不調から自殺に走る人も少なくありません。それならば時間の融通のきく非正規でも良いのではないか。その人のライフスタイルや価値観によって、どのような働き方も自在に選べるようになることの方が重要と考えます。

 

そのために一番の障害になっているのがおそらく「いちどコースから外れたら復帰するのはほぼ不可能」という日本の風土でしょう。いろいろな方が「いちど非正規になったら正規に戻るのは非常に困難」とおっしゃっています。たとえば出産、育児でいちど非正規になった女性が正規に復帰するのはほぼ不可能だったりします。

もうひとつは「過剰なサービス要求」です。日本のサービスレベルは世界最高、などとよくいわれ、それが賞賛されています。逆にいうと、安い居酒屋でも良質なサービスが得られなければクレームが入る、料金とサービスレベルが見合っていない現状がある、ということです。時給850円の居酒屋のアルバイトにも最高レベルのおもてなしを求めるのは酷というもの。しかしそれを提供するために必要のない長時間労働が強いられることになります。サービスにもコストがかかっている、ということを理解していない顧客側の意識の問題です。

 

“日本には自殺したくなるほど仕事があり、自殺したくなるほど仕事がない”

 

といった言葉が一時期話題となったと記憶しています。実に言い得て妙だな、と思います。労働環境の整備よりもまず、日本人の仕事に対する意識そのものから変えていく必要があるのではないかと、私自身は考えます。

 

 

【ニュースソース】

非正規労働者、過去最高の38.2%に
毎日放送

非正規雇用初めて2千万人超 過去最高、4割に迫る
47NEWS

約4割が非正規労働者=過去最高更新、就業構造調査-総務省
時事通信

非正規雇用、初めて2千万人超える 12年
日本経済新聞

就業構造調査:非正規労働者4割に迫る
毎日新聞

非正規社員比率38.2%、男女とも過去最高に
日本経済新聞

非正規労働者 過去最高38%
NHK

非正規労働2000万人超す 介護者、60歳以上5割
東京新聞

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