【国際】「どの国も国益守るために活動実施」ケリー国務長官、EU盗聴報道を受け
米国のケリー国務長官は1日、米国政府がEUや関連諸国を情報収集のための監視対象としていたとされる報道に対し、ほとんどすべての政府が国益や国の安全を守るために様々な“活動”を行っている、と述べました。
昨日の報道によると、米国政府はドイツやベルギーのEU域内の他、ワシントンにあるEU代表部、ニューヨークにあるEUの国連代表部などに盗聴器をしかけて情報収集を行っていた、とされています。EU諸国からは強い反発があり、
「私は常に独裁主義者の一部が盗聴を試みているという確信があったが、このようなことが同盟国、盟友によって実施されているとは、もしこれが本当ならばショックなことだ」と語った。
(ロイター)
欧州議会のシュルツ議長はこのように語っています。EUは米国との自由貿易協定(FTA)締結を交渉中であり、今回の盗聴問題はその交渉に影響を及ぼすものと見られていました。
これに対し、ケリー国務長官は
「私が言えることは、国際情勢と国家安全保障に関与する世界のどの国も国家の安全を守るために多くの活動を行い、さまざまな情報がそれに貢献している。私が知る限りこれは多くの国にとって普通なことだ」
(ロイター)
と発言、米国だけがやっていることではないと反論しています。しかし、反論としては弱いためか、
「報道の内容を詳しく把握しておらず、調査の上、回答する」
(読売新聞)
として報道の内容を調査する方針であることを述べています。
先月始めに明るみに出たNSAによる米国市民の個人情報収集問題に端を発する、米国政府による盗聴問題は国際問題に発展してきています。情報をリークしたスノーデン氏が一時滞在した香港、中国との亀裂だけでなく、EUとの亀裂も入った形となっています。昨日の記事“【国際】NSA個人情報収集問題、EUも監視対象だったことが明らかに”にも書いたように、これだけ大きな問題になっていったということは、裏で糸をひいている国や組織がある可能性も考えられます。誰がどういった利益を得るのか、という観点からすると様々なシナリオが考えられます。
今回のケリー国務長官の発言は米国政府による弁明ととらえられます。「他の国もやっている」というのは言い訳としてはややお粗末な感が否めません。それが米国政府の本心なのか、別の意図があるのかについては、今後の各国の出方次第でしょう。もしかしたら裏ではすでに幕引きの準備が始まっているのかもしれません。
【ニュースソース】
欧州首脳ら、米批判強める 「同盟国も盗聴対象」報道で
asahi.com