【ビジネス】トヨタが米国でエンジン増産、米国の景気状況はいかに?
トヨタ自動車が20日、米アラバマ州の工場でエンジンを5割増産する、と発表しました。米国向け製品の一部は九州の工場で生産していましたが、大幅増産に合わせて為替影響の少ない現地生産に切り替えます。九州の工場は他のエンジン生産を増やすため、生産規模は維持されます。
エンジン増産の背景には米国での自動車需要の拡大があります。大型SUVやピックアップトラックの売上が好調に推移、ゼネラル・モーターズやフォード・モーターが増産に乗り出しています。
トヨタの年初から5月までの米自動車販売台数は5.2%増と、業界全体の7.3%増を下回る伸びとなっている。トヨタは過去2年、北米の生産に約20億ドルを投資している。
(ロイター)
ロイターが報じているように、好調な米国車市場において、トヨタは一歩遅れをとっていました。米国の景気回復も折り込み、増産体制を整えて収益拡大を狙う戦略のようです。
米国の景気は現状どうなのでしょうか。シェールガスの輸出認可や消費動向の改善などをうけて回復傾向にあると見る向きもある一方、雇用統計では失業率に大きな変化がないことなどから、慎重な動きが見られます。
興味深いブログ記事があったのでご紹介しますね。
株価下落の中で、安倍総理が第三の矢を放ち、気勢を上げています。
そのような中、FRB(連邦準備制度理事会)が、最新の経済情勢の報告をまとめました。この報告書はベージュブックと呼ばれ、全米の12の地区連銀が、企業などに対して聞き取り調査をしたまとめです。日本で言えば、短観に近い存在と考えています。
これによりますと、アメリカ各地の最新の経済情勢は、住宅市場の改善などで景気は全体として緩やかに拡大しているという判断が示されました。
しかし、雇用の増加のペースが遅いことなど、企業側の判断には慎重さが窺えます。
個人消費については、地区によるバラツキが見えます。小売売上の増加幅が僅かにとどまっている地区が散見されるからです。
私がアメリカ経済を診るときには雇用統計を重視していますが、改善傾向にありますものの、そのペースが遅いことが気になります。企業が採用を控えていることがその主因であると考えます。
7日に雇用統計が発表され、中旬には公開市場委員会で当面の金融政策が議論されます。ここで改善していれば、アメリカの景気の先行きは明るいとみて良いでしょう。
こちらの記事では雇用統計を気にされており、「統計値が改善されていれば」という条件付きで米国景気の先行きは明るい、とみています。この記事が書かれた段階では6月7日の米国雇用統計は発表されていませんでしたが、すでに発表された内容を見ると、
米労働省が7日発表した5月の非農業部門就業者数は前月比17万5000人増加し、4月の14万9000人増から改善した。失業率は7.6%に0.1%ポイント悪化した。
とあります。大きな変化がなかったことが逆に安心感をもたらした、としています。WSJの分析では、「慎重ながらも自信回復の兆し」「失業者に一筋の希望」として先行きの明るさを示しています。
一方でこのような記事も見かけました。
アメリカの景気が上向いていると言われていますが、それには危険なカラクリがあります。実は、アメリカ人は錬金術をしているのです。自動車を買う、家の改築を行うという理由をつけて銀行からお金を借り、それを生活に回しているのです。住宅ローンで家を買い、それに二番抵当をつけて更に銀行から借金し生活に流用したりしています。
(ビジネスジャーナル「アベノミクス、ミニバブルに乗ってはいけない?日米欧を襲う同時危機…景気回復のウソ」)
米国の消費動向改善は「錬金術」なのではないか、との指摘です。ただ、雇用統計は大幅に悪化しているわけではないため、この記事の信憑性にはやや疑問符がつくところです。
いずれにせよトヨタが米国向けの自動車を増産する、ということは何かしらメリットがあると見ているからでしょう。今後の動向に注目したいところです。
【ニュースソース】
【米国―生産】トヨタ、米のエンジン工場に2億ドル投資
国際自動車ニュース
トヨタ、米国3工場に2億ドル投資…エンジンなどを増産へ
レスポンス
トヨタ、米3工場に2億ドル投資-V6エンジン生産拡大向け
ブルームバーグ
トヨタ、米でV6エンジン増産 投資額195億円
MSN産経ニュース
トヨタ、米エンジン工場で5割増産 195億円投資
日本経済新聞