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【社会】司法試験合格者3000人計画を撤廃、司法試験や法科大学院制度見直しへ

法曹養成制度検討会議の会合が19日に開かれ、政府への最終提言のとりまとめに入りました。提言には「司法試験合格者年間3000人の目標撤廃」「成果の乏しい法科大学院の統廃合や定員削減」「司法試験受験回数制限の緩和」などの内容が盛り込まれる予定です。

 

政府の有識者会議は、司法試験の合格率が低迷し、合格しても弁護士の仕事がない人が増えていることから、司法試験や法科大学院の在り方について検討を進め、19日提言をまとめました。(NHK)

 

法科大学院制度は2004年、弁護士などの法曹の需要拡大が予想されたため、質を落とさずに数を確保する目的で創設されました。米国のロースクールをモデルにした、専門職のための教育機関です。創設当初はすべての法科大学院で定員が満たされていましたが、2012年には86%の学校で定員割れを起こしています。

 

法科大学院制度の発足当時、修了者の7 - 8割程度が新司法試験に合格することが見込まれていたが、実際の合格率は2 - 4割程度で、合格者の大半が名門大学に偏り合格率が1割未満の法科大学院も存在した。合格率が低い法科大学院は受験生に敬遠され定員割れを起こしている。2009年以降は法科大学院の総志願者が激減、2012年度には1万8446人と10年前と比べて約4分の1となり、入学者の総数も3150人にとどまっている。さらに入学定員と入学者の関係から見ると、法科大学院全体(73校)のうち86パーセントである63校で定員割れとなっており、法科大学院全体の約半数の35校で入学者が定員の50%に満たない状態となっている。志願者の減少に伴い、2010年度以降、入学定員の削減や法科大学院の学生募集停止が相次いでいる。Wikipedia「法科大学院定員割れ問題」

 

Wikpediaに記載のある通り、法科大学院はもともと、司法試験合格率7〜8割を目指していました。しかし、ふたを開けてみると2〜3割。成績の悪い学校では合格率が1割に満たず、合格率の低い学校は敬遠されるようになりました。その結果、入学者に偏りが出始め、多くの法科大学院で定員割れが発生しているのです。

 

政府は、2002年3月に閣議決定した「司法制度改革推進計画」において、新司法試験の合格者数を、2010年頃に3,000人程度とすることを目指す、とした。さらに、内閣府規制改革・民間開放推進会議の規制見直し基準ワーキンググループは、2005年7月4日の第16回会議において、新司法試験の合格者数を9,000人まで増加させるべきであるとする提案を行った。この点について、実社会においては、弁理士や司法書士、税理士、社会保険労務士、行政書士が弁護士と一部業務が重なっている実体があるにもかかわらず、これら隣接業種を含めた法律家がどの程度の需要があるのかという具体的な議論や検証が十分に行われていないとの批判があり、法曹人口も法科大学院の定数も国民、学生不在の単なる数合せにすぎないとする向きもある。Wikipedia「法科大学院」

 

同じくWikipediaによりますと、法科大学院の創設趣旨である「法曹需要増大に合わせた法曹人口の拡大」についても疑問があるとしています。しかし、実際のところ需要が拡大しているのかどうかについては十分な検証がなされておらず、司法試験合格者年間3000人という数値目標に根拠と意味があるのか、という批判もなされています。

昨今、日本の警察における「自白の強要」問題が噴出しています。海外からは「日本では逮捕されたら99%有罪になる」などと揶揄されることもあるようです。日本の司法制度にはまだまだ問題点も多いようです。

とはいえ、まったく事情の異なる欧米諸国をモデルに考えるのも間違っている、と個人的には思います。ですので、日本の実情にそった司法制度が作られることを望みます。

 

 

【ニュースソース】

司法試験合格者を年3000人程度とする計画撤廃へ 政府検討会議
FNN

法科大学院、実績低迷なら強制閉校も 政府検討会議提言
asahi.com

“合格者3000人”撤回を~政府検討会議(東京都)
日テレNEWS24

司法試験、目標合格数の撤回提言 政府の法曹養成制度検討会議
47NEWS

司法試験の合格者目標撤回提言
NHK

司法試験合格者「年3千人」目標撤回…最終提言
読売新聞

司法試験:低合格率の法科大学院に「法的措置」 政府方針
毎日新聞

現実性を欠く…司法試験合格者3000人計画を撤回へ
テレビ朝日

「3千人」合格目標を撤廃=司法試験見直しへ報告—政府検討会議
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

司法試験「3000人合格」撤回
全国私塾情報センター