ニュースを比較してみるブログ

世にあふれるニュースを報道のされ方を比較、掘り下げていきます。国際、政治、経済を主に取り上げています。やや右寄りの傾向あり。

【ビジネス】ホテルのメニュー不適切表示に見る「安くすれば売れる」の呪い

阪急阪神ホテルズが10月22日、メニュー表示とは違う食材を使っていたことを発表したのに続き、ホテル京阪、八景島シーパラダイス京都タワーホテル、ホテルクレメント徳島などで次々とメニュー表示とは異なる「不適切表示」が明らかとなっています。実際に使用していない食材をメニューに表示したり、アレルギー表示をしないなど、その実態は多岐にわたります。

 

記者会見を見ていると、2007年に頻発した食品の偽装表示事件を思い出す。あのときもトップの説明がまずくて問題が大きくなり、他社でも次々と偽装表示が明らかになり、食品事業者全体に対する信頼が大きく損なわれることになった。今回も連鎖的に拡大する可能性があり、消費者は外食のメニュー表示に疑心暗鬼になってしまいそうだ。その社会的影響は計りしれず、阪急阪神ホテルズの罪は重い。

(FOOCOM.NET“阪急阪神ホテルズのメニュー表示 何が問題だったのか(上)”)

 

このように、連鎖的に明るみに出てくる不適切表示。思い出されるのは2007年に頻発した偽装事件です。赤福や白い恋人の賞味期限偽装、舟場吉兆の食べ残し再提供などが大きくニュースに取り上げられました。舟場吉兆はその後、客足が遠のき廃業に追い込まれています。

 

 

「ホテルでは定期的に『予算会議』が開かれ、食材の仕入れ担当者はいい食材を安く入手することを求められます。原価率を下げろというプレッシャーが背景にあったのかもしれません」

(dot.“高級ホテル偽装食材問題 「原価を抑えることで高い評価」との証言も”)

 

どの企業も基本的にそうだと思いますが、いかに仕入れ値を下げて売上をあげ、利益を増やすかが最大の課題です。リーマンショック以降、長年にわたるデフレに見舞われた日本企業は下がり続ける売上に苦しめられることになりました。その中からなんとか利益を増やそうと、仕入れ値を下げる努力が始まります。業務効率化や仕入れ先の変更によるコスト圧縮がその最たるものでした。

しかし、デフレに合わせて消費者側の手取り賃金も下がっていったため、価格据え置きでは売れないのでは?という恐怖心が、企業を値下げ合戦に駆り立てます。価格を下げても売上が伸びれば薄利多売の原理で利益を上げることができるからです。安さを売りにしたユニクロや100円ショップ、牛丼チェーンなどが大きく躍進するのもちょうどそのころです。

ですが、同じく値下げ競争に挑んだ百貨店は惨憺たる結果となりました。もともと高級路線で売っていた百貨店が値下げを敢行したばっかりに、本来の売りであった高級感が損なわれてしまったのです。一方で建物の維持費や人件費などは下げることができず、スーパーのように思い切った値下げができず、宙ぶらりんになったまま、どんどん消費者から見放されていきました。百貨店の凋落の一因は、中途半端な値下げにあったとも見ることができます。

 

このように、日本企業を値下げ競争に駆り立てたのは「安ければ売れる」という思い込みでした。もちろん、値段が安くなれば消費者にとっては嬉しいことですから、たしかに売れるようにはなります。けれども、その背後には熾烈なコストカットがあることを忘れてはいけません。人員削減をしたうえでたくさん売るとなると、それだけ一人の従業員あたりの負荷が大きくなります。給与はあがらず、仕事の負荷が増える、となれば、現場はどんどん疲弊していきます。そうした見えないコストがいろいろなところにひずみをもららしてきました。

「安ければ売れる」というのは必ずしも真実ではありません。

 

価格は「誰にそれを買ってほしいのか」というメッセージに他なりません。もちろん安いにこしたことはありませんが、「安い」ということの裏に隠されたメッセージをきちんと読み解くことが大事です。たとえば安い、と思って買った百円ショップのはさみ、使ってみたらすぐにぼろぼろになってしまって、1,980円出して文房具屋さんできちんとしたものを買った方がかえって良かった、ということもよくある話です。

今回話題になっている不適切表示もそうです。なぜ安くできるのか、一方で高いままのところはなぜ高いのか、ということをきちんと考えることが大事ではないでしょうか。そういうことをきちんと考えていけば、「安いからといって必ずしも売れるとは限らない」ということが分かるはずです。 

価格の心理学 なぜ、カフェのコーヒーは「高い」と思わないのか?

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ものの値段というものに人がどんな風に反応していくのか、なぜ高いものでも時にはよく売れることがあるのか、この本を読むととてもよくわかります。ご自身の購買行動を振り返る意味でも、ぜひご一読をおすすめします。

 

 

 

【ニュースソース】

ホテルクレメント徳島、アレルギー物質の表示なし(徳島県)
日テレNEWS24

牛脂注入肉:JR四国子会社でも アレルギー物質も含む
毎日新聞

岡山高島屋でも不適切表示
山陽新聞

アレルギー物質も非表示 クレメント徳島、牛脂注入肉に乳
徳島新聞

ホテル京阪、3施設で「牛脂注入肉」を表示せず
日本経済新聞

京阪も牛脂注入肉表示せず、3ホテルで3万人超利用
サンケイスポーツ

八景島シーパラでも牛脂注入肉 横浜の飲食業者
スポーツニッポン

シーパラのレストランでも… 「牛脂注入加工肉」を「ステーキ」
MSN産経ニュース

不適切表示 岡山のデパートでも(岡山県)
日テレNEWS24

京都タワーホテルと系列の2つのホテルでも、不適切な表示が明らかになりました。
毎日放送

アレルギー物質非表示 ニューオータニ熊本
MSN産経ニュース

牛脂注入肉を使用 アレルギー物質も表記せず
チューリップテレビ公式サイト

次から次へと… ホテル京阪でもメニュー不適切表示
毎日放送

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