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【政治】臨時国会でNSC法案が実質審議入り、11月上旬に衆院通過目指し

15日に始まった臨時国会は衆参ともに代表質問と予算委員会が終わり、重要法案の本格的な審議に入ります。中でも、賛否両論ある秘密保全法案と密接に絡んでいる国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案の審議の行方が注目されています。NSC法案は自民党が大きな政策の柱のひとつとして掲げている「外交再生」に関係しており、中国・韓国をはじめとする周辺諸国が日本に対する軍事的圧力を強める中、これまでの政権運営で弱体化してきた日本の防衛体制を立て直すために必要な法案です。そのためには官邸の司令塔機能を強化する必要があり、NSCが法的に必要になってくる、というわけです。

NSC国家安全保障会議とは、Wikipediaの定義によれば

 

国家安全保障会議(こっかあんぜんほしょうかいぎ、英: National Security Council)は、多くの国家に設置されている外交問題や国防問題、安全保障政策などの審議や立案、調整(武力行使の是非決定)などを行う機関。多くの場合は大統領や首相、内閣に属し、助言などを行う。

Wikipedia国家安全保障会議”)

 

とあり、外交や国防を専門的にあつかう機関、と位置づけられています。現在、日本にも「安全保障会議」という組織は存在しており、国防や外交上の重要事項や緊急事態の審議にあたっています。

 

アルジェリア人質事件を受け、政府・与党内で国家安全保障会議(日本版NSC)創設の機運が高まってきた。邦人の安否確認が難航したことを踏まえ、官邸主導で外交や安全保障にかかわる情報を収集・分析する体制を強化すべきだとの意見が広がっているためだ。海外邦人を保護するための法改正には日本維新の会やみんなの党などで賛成論も出ている。

日経新聞日本版NSC、機運高まる 人質事件受け政府・与党内 ”)

 

しかし、今年1月に発生したアルジェリア人質事件安全保障会議が十分に機能しなかったため、より権限を強化するNSC設置の機運が高まりました。

 

NSCの設置には賛否あります。

 

 

  • 賛成派・・・現在、日本は周辺諸国からの軍事的圧力にさらされており、現状の体制のままでは迅速な意思決定ができずに致命的な被害を被る可能性がある。そのため、現在の安全保障会議よりも権限を強化した審議機関が必要である。
  • 反対派・・・会議の権限を強化することによって政府の暴走が止められなくなり、ひとたび有事になった際にはそのまま戦争に走ってしまう可能性がある。また、セットで審議される秘密保全法により、国家による情報統制がよりきつくなり、日本が秘密警察国家になる可能性がある。

 

いずれの主張もよく分かります。結局のところ、「日本ならびに日本国民をどのようにして外圧から守るか」の方法論の部分にあたるのですが、この場合の外圧を賛成派は「周辺諸国」と考えており、一方反対派は「日本政府そのもの」と考えているようです。つまり、「誰から身を守るのか」という部分の考え方が異なっている、ということができそうです。

いずれの主張も間違っていない、と個人的には考えます。であるならば、制限付き承認、というのがもっともあり得そうな解でしょう。そうなると「NSCを監視する組織」が生まれ、それが汚職されるとさらに「NSCを監視する組織を監視するそしき」ができ・・・と無限ループにはまりそうですけれども。

 

昨日このブログでとりあげたように、領空侵犯してきた中国無人機に対して撃墜を承認する決定が国会でなされています。現政権は「なにか問題が発生したらしっかり軍事力を行使する」という姿勢を打ち出しており、自分個人としては、その姿勢が周辺諸国に対する抑止力としてきちんと働いてほしい、と願っています。そうすることで逆に軍事力を行使しなくて済むようになるからです。

「軍事力を行使できるようにしたらすぐ戦争になる」という批判があちこちから聞こえてきます。だから日本は武装解除し、「戦争はしない」という意思表示をすることで戦争に巻き込まれないようにすべきだ、という意見です。私はその考え方に反対です。というのも、周辺諸国はそんなにやさしいとは思っていないからです。武装解除し、戦争放棄したら中国や韓国は間違いなく日本に攻めてきます。自衛隊の予算をどんどん縮小してきたこれまでの間に攻め込まれなかったのは、日本に米軍が駐留しているからです。

もし、日本が真の独立を目指すのであれば、しっかり武装し、米軍が日本から撤退しても周辺諸国から攻め込まれないだけの抑止力を持つべきです。戦争をしないために軍隊が必要なのです。

 

※今回設置が検討されているNSCはアメリカ国家安全保障局(NSA)と混同されている向きが多いようです。NSCは有事の際の審議体制ですが、NSAは諜報活動を行う情報機関です。

ちなみに、NSAといえば、米国一般市民の通話記録などを収集していたとエドワード・スノーデン氏が暴露して話題となりました。米国のNSAはアメリカ国防総省に付属する諜報機関です。同じく諜報活動を行う機関にCIAがありますが、CIAは人を使ったスパイ活動を中心としているのに対し、NSAは電子機器(電話やコンピュータなど)を使った情報収集活動を中心としています。

 

 

【ニュースソース】

不成立なら何起きるか…原子力協定、隠れた焦点
読売新聞

重要法案、週明け審議入り 安保・成長戦略を優先
日本経済新聞

今回の臨時国会のポイントを山本 周解説副委員長に聞きました。
FNN

国会、法案審議が本格化=NSC、28日に実質審議入り
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

重要法案巡る与野党調整 本格化へ
NHK

NSC法案、きょう実質審議入り=衆院特別委
時事通信