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【私見】秘密保全法は是か非か

藤原紀香さんがご自身のブログで反対意見を表明されたことで大きく話題になった「秘密保全法」。FacebookTwitterで賛否さまざまありますので、ご存知の方も多いかと思います。当方の見た範囲では反対意見が非常に多いように感じるのですが、これは単に賛成の方がわざわざ声を上げていないために、そのように見えるだけなのかもしれません。

 

さてこの法案、なぜここまで問題になっているのでしょうか。

ひとことで言うと、「国民の“知る権利”を侵害する可能性がある」からです。

そもそも秘密保全法の趣旨は、政府が出している概要書によりますと、

 

我が国の安全保障に関する事項のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該事項の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって国及び国民の安全の確保に資する。

特定秘密の保護に関する法律案の概要

 

国民の安全、国防上の重要な機密はそれを漏洩した者に対して厳しい罰則を定めてそれを防止することがこの法案の趣旨です。

猛烈に批判されている方々が懸念されているのはこの法案が定める「特定秘密」の範囲が曖昧であるために「政府の都合のいいように法解釈し、国民に対して知られたくないことを知らせないための法案なのではないか」という点です。もしそうであれば、都合の悪いことは知らせず、政府があれこれ理屈をつけて無実の人に罰則を課すことも可能になってしまいます。たしかにそういった事態にはってんしてしまったら大変です。

 

では、この概要書は「特定秘密」をどのように定めているのでしょうか。

 

行政機関(※)の長は、別表に該当する事項(公になっていないものに限る。)であって、その漏えいが我が国の安全保障に著しく支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものを特定秘密として指定するものとする。

特定秘密の保護に関する法律案の概要

 

とあります。概要書の趣旨に従えば、あくまで国家安全保障に影響を及ぼす情報、ということになります。その範囲は実はこの概要書のなかに大まかに定められています。

 

第1号(防衛に関する事項)

第2号(外交に関する事項)

第3号(外国の利益を図る目的で行われる安全脅威活動の防止に関する事項)

第4号(テロ活動防止に関する事項)

※各号の詳細は資料をご確認ください。

 

とあります。つまり、防衛、外交、スパイ、テロに関する情報です。素直に解釈すると、この法案はいわゆる「スパイ防止法」であり、国益を害するような諜報活動を防ぐ目的であることが透けて見えます。

また、概要書の中には次のようにあります。

 

本法の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならない旨を定める。

特定秘密の保護に関する法律案の概要

 

この規定が正しく運用されるのであれば、不当逮捕や知る権利の侵害には当たらないはずです。さらにいえば、

 

人を欺き、人に暴行を加え、又は人を脅迫する行為、財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為その他の特定秘密の保有者の管理を害する行為による特定秘密の取得行為を処罰する(自由刑の上限は懲役10年)

特定秘密の保護に関する法律案の概要

 

「機密の取得への罰則」についても、不正行為による取得に対する罰則があるのみで、通常の手段、たとえば政府関係者への取材行為などは認められています。したがって、この概要書の範囲内では、国民の知る権利を侵害したり、マスコミの取材を制限したりするものではない、ということが読みとれてくるはずです。

とはいえ、政府が暴走しないとも限りませんから、反対派のみなさまの懸念はまったく的外れ、というわけではありません。ですから、政府の暴走を食い止める規定が必要になってきます。

 

ではこの秘密保全法、いったい何のために必要なのでしょうか。

 

昭和 50 年代の後半、東西冷戦の国際情勢の下、「我が国に対するスパイ活動は、我が国の置かれた国際的、地理的位置関係から、ソ連、北朝鮮等共産圏諸国からのものが多く、複雑な国際情勢を反映して、これらの活動はますます巧妙、活発に展開されている。」とされ、「我が国には直接スパイ活動を取り締まる法規がないことから、スパイ活動が摘発されるのはその活動が各種の現行刑罰法令に触れて行われた場合に限られる。」と指摘されていた。このような状況に対して中曽根総理は、「日本はスパイ天国であってこういうような状況をそのままほっておくわけにはいかぬ。」との認識を表明していた。

(秘密保全に関する法制整備の動向について

 

内閣調査委員室の報告書によると、そもそも日本にはスパイを防止する法律がありませんでした。それにも関わらず、日本はロシア、中国、韓国、米国と利害を異にする国々に隣接もしくは密接な関係をもっており、普通に考えればスパイが活動するにはもってこいの国です。その国にスパイを防止する法律や制度がないとすると、中曽根元首相がいうように「スパイ天国」になるのです。事実、日本の機密情報は米国やロシアにだだもれだったと言われています。

米露関係はシリア問題をきっかけに悪化し始めているように思われますし、中国韓国は日本の領土を狙って軍事行動を起こそうともしています。周辺国がこのような動きをしている中、機密情報がだだもれの状況、というのは非常に危険です。ですから、国防上の観点からすると、秘密保全法は必須の要件になってくるのです。
※なお、【ソース】にぼやきくっきりさんのブログをリンクしています。とあるテレビ番組から内容を抜粋しておられますが、なかなか刺激的なシナリオですのでじっくりご覧になってみてください。簡単にいうと「スパイ防止法の成立は日本の真の独立を目的としている」ということです。

 

以上、賛否わかれる秘密保全法を眺めてきましたが、賛成派と反対派の論点がそれぞれ食い違っていることに注目しましょう。

 

  • 賛成派:「周辺国が不穏な動きを見せる中、国防上必要な制度である」
  • 反対派:「国民の知る権利を侵害し、政府が都合良く使う可能性がある」

 

このようにみたとき、賛成派と反対派の意見は対立するものではなく、条件付き賛成という形で両立できそうです。つまり、秘密保全法の運用に当たってはそれが適切に運用されているかを監視する体勢を整えること。そうすれば、国防上の問題も解決でき、かつ知る権利の侵害も防ぐことができます。さらにいえば「特定秘密」の定義をよりはっきりさせることで国民の不安を払拭することもできるでしょう。

 

※自分の印象でしかないので正確かどうかはわかりませんが、この秘密保全法に反対している方の層と反原発を表明している方の層がかぶっているように思えます。さらにいうと、こうした方々は共産党を支持しておられる方が多く、ということは左寄りの方々、という印象があるのです。どういうことかはどうぞご推察ください。

※さらにいうならば、「藤原紀香さんも警鐘」という煽りはどうかと思うのです。著名人が反対しているからみんな反対しよう!というのはあまりに自分の意見がなさすぎです。著名人でも間違いをすることはあるのです。

 

 

【ソース】

藤原紀香も警鐘?秘密保全法がひっそりと決まろうとしている
NAVERまとめ

安倍首相肝いりの秘密保全法案、その真相は&暗躍する中国の影…青山ズバリ
ぼやきくっきり