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【社会】福島第一原発事故問題で菅元首相ら不起訴、原告団は不服申し立てのかまえ

東日本大震災の津波で爆発を起こした福島第一原発事故を巡って告訴・告発されていた東京電力勝俣恒久前会長ら経営幹部と菅元首相ら政府関係者など計約40名について、東京地検は9日、全員を不起訴にする方針を明らかにしました。検察の発表を受け、原告団は検察に対し不服申し立てをする予定です。

 

検察は福島第一原発事故について、福島県の住民グループなどの告訴・告発を受け、刑事責任を問えるかどうか1年にわたって捜査を続けてきました。

その結果、事前に十分な津波対策が施されていなかったことについて、「専門家の間でも今回の規模の地震や津波は全く想定されておらず、具体的に津波の発生を予測するのは困難だった。東京電力は平成20年に高さ15メートルを超える津波の試算もしていたが、巨大津波の発生は1万年から10万年に1回程度と考えていて、直ちに津波の対策工事を実施しなかったことが社会的に許されない対応とまでは言えない」と結論づけました。

(NHK)

刑事責任を問うには、東日本大震災クラスの津波を現実的な危険として予測できていたことの証明が必要です。

(NHK)

 

今回の告訴の最大のポイントは「津波を原因とする原発事故の責任を問うことができるか」という点につきます。東日本大震災は1万年〜10万年に一度の大災害とも言われており、予測が非常に難しかった、ともいわれています。そのような災害に対して備えができていなかったことに責任を問うことができるのか、検察は難しい判断を迫られました。

原告団は東電幹部を業務上過失致死傷の疑いで刑事事件として訴えを起こしています。業務上過失致死傷とは、

 

業務上過失致死罪は、業務上必要な注意を怠り、よって人を死亡させる犯罪をいう。業務上過失傷害罪は、業務上必要な注意を怠り、よって人を傷害する犯罪をいう。「業過致死」(ぎょうか - )、「業過致傷」などと略される。どちらも刑法211条1項前段に規定されている。

Wikipedia業務上過失致死傷罪”)

 

とあり、「業務上必要な注意を怠った」結果、怪我をおったり死亡した場合に適用されます。つまり、数万年に一度という津波に対する対策が「業務上必要な注意」だったのかどうか、を証拠づける必要があるのです。通常の地震予知も難しい現状、数万年に一度の地震に備えよ、というのは「業務上必要な注意」をあまりにも逸脱しているようにも思えます。

ただ、東電や政府関係者を擁護するつもりはありません。ここでは現状の法律で彼らを罪に問うことが出来ない、ということを意味している、ということをいいたいのです。一般的な倫理観から許されない行為でも、それに適用できる法律がなければ罪に問うことはできないのです。

ひかりごけ事件”をご存知でしょうか。1943年、日本陸軍の徴用船が7人の乗組員を乗せて遭難しました。遭難したのは真冬の北海道沖。船員らはいったん船から非難して知床半島に上陸、とある小屋にたどり着きます。しかし真冬の北海道では食糧がなく、やむなく仲間の船員の死体を食糧にしたということです。最後まで生き残った船長は生還後、殺人、死体遺棄および死体損壊の容疑で逮捕。殺人については容疑が認められず、死体損壊で起訴、懲役1年の刑が課されました。船長は人の死体を食べた、ということで倫理的問題に苦しんだと言われていますが、それを裁く法がなかったために、死体損壊という比較的軽微な罪で済んだ、とされています。

今回の福島第一原発事故とひかりごけ事件を同列に並べるのはどうか、とも思いますが、問題はあくまでも「現在の法律の範囲で刑事責任を問うことができるかどうか」という点であって、「相手を罰したい」という気持ちだけでは法的に裁くことはできないのです。

 

「結果の重大性から国民の事故への怒りは分かる。だが処罰できるかは別だ」(法曹関係者)

(MSN産経ニュース)

 

MSNの法曹関係者の言葉に在るように、法律で処罰できるかどうか、と怒りや不満が極めて強いことは別問題として扱わなければなりません。証拠なしに相手を罰するのは法治国家としてはあってはならないからです。

 

検察の不起訴処分を受けて東京電力の旧経営陣を告訴・告発していた福島県の住民グループが会見を開き、代表を務める河合弘之弁護士は、「検察は強制捜査もせず、どうやって捜査を工夫し、地元の人たちの悲しみを救うのかという前向きな考えが全くなかった。

任意で提出された資料や学者の意見だけで判断すれば不起訴になるのは当然で、名ばかり捜査としか言いようがない」と批判しました。

(NHK)

 

私自身も被災者のひとりですから、こうした怒りはすべてではないにせよ、その一部はわかるつもりです。ですが、残念ながら、「法的に処罰をする」ことと「悲しみを救う」ことは別問題として扱う必要があります。

 

東電や政府関係者の責任を問うことも重要ですが、今はまず、進んでいない復興を早急に進めることの方がより重要と考えます。

 

 

【ニュースソース】

原発事故めぐり菅元首相ら不起訴に 菅元首相「当然の結果」
FNN

菅元首相や東電前会長ら 不起訴処分に
読売テレビ NEWS&WEATHER

菅元首相ら不起訴 告発者ら不服申し立てへ
読売テレビ NEWS&WEATHER

福島第1原発事故で菅元首相ら不起訴 東京地検
日本経済新聞

福島原発事故 東電や菅元首相ら全員が不起訴処分 判断は検察審査会へ
ハフィントンポスト 

原発事故 東電や菅元首相など不起訴へ
NHK

原発捜査で全員不起訴 東電幹部、菅元首相ら
中国新聞

原発事故、東電旧経営陣・菅元首相ら全員不起訴
TBS News

東電原発事故 菅元首相ら42人を不起訴 検察当局「地震、津波の予見困難」
MSN産経ニュース

「名ばかり捜査」「五輪利用は卑劣」 福島原発告訴団、憤りあらわ
MSN産経ニュース

「名ばかりの捜査だ」告訴団が批判 原発事故で
日本経済新聞 

国民目線どう判断 難しい過失認定 東電原発事故 有罪獲得に高いハードル
MSN産経ニュース

原発事故「不起訴」に関する福島原発告訴団等の声明
レイバーネット日本 

原発事故の責任問わず 菅元首相ら全員不起訴
NHK

福島第1原発事故:避難者、不起訴は「本当に残念」
毎日新聞 

菅元総理ら全員不起訴に…福島第一原発事故巡り
テレビ朝日

不起訴は当然=菅元首相
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

不起訴は「責務放棄」=告発団体が会見—福島
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

東日本大震災:福島第1原発事故 菅元首相ら40人、不起訴へ 「電源喪失、東電は予測困難」
毎日新聞

東電幹部、菅元首相ら全員不起訴 原発事故、巨大津波の予測困難
47NEWS

原発事故、全員不起訴=東電元幹部や菅元首相ら—検察当局
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

東電幹部や菅元首相ら全員不起訴 原発事故巡り検察当局
朝日新聞

福島原発事故、全員不起訴=東電元幹部や菅元首相ら—検察当局
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

原発事故不起訴「捜査尽くした」
NHK

福島第1原発事故:「原発告訴団」検察審査会に申し立てへ
毎日新聞

菅元首相、勝俣前東電会長 福島原発事故不起訴
スポーツニッポン

東日本大震災:福島第1原発事故 菅元首相ら不起訴 避難者肩落とし「残念」 「現状変えたかった」
毎日新聞

菅元首相ら不起訴 「原発事故予見できず」 東京地検
河北新報

東日本大震災:福島第1原発事故 菅元首相ら42人不起訴 住民、検審申し立てへ
毎日新聞

東日本大震災:福島第1原発事故 菅元首相ら不起訴 東京地検、立証の難しさ強調
毎日新聞

 

 

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