ニュースを比較してみるブログ

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【政治】70歳〜74歳の医療費負担2割に引き上げ、来年度から実施視野に

田村憲久厚生労働相は9日、特例措置で70歳〜74歳の医療費負担を1割に据え置いている件について、来年度から本来の2割負担に戻す方針を明らかにしました。もともとは2006年に成立した医療制度改革関連法で2008年に2割負担に引き上げられる予定でしたが、自民、公明両党が高齢者からの反発をおそれて特例である1割のまま据え置き、そのままの状態が続いていました。

 

70~74歳の窓口負担は、法改正で2008年度から2割に引き上げられることになっていた。だが歴代政権が高齢者の反発を避けるため、特例として原則1割のまま据え置いてきた。穴埋めのため毎年約2千億円の税金が使われている。

(朝日新聞)

1割に据え置くための財政負担は、団塊の世代(昭和22~24年生まれ)が初めて70歳になる平成29年度以降、毎年200億円ずつ増加する。70~74歳人口がピークに達する33年度には3千億円超が必要になる。

(MSN産経ニュース)

 

ただし、

 

その場合、低所得者対策も並行して議論する必要があるとの考えも示した。医療費が高額になった際の自己負担を低く抑える「高額療養費制度」で、負担額のさらなる引き下げを検討するとみられる。

東京新聞

 

として低所得者対策や高額医療の負担額減額を検討する方針でもあるようです。

 

70歳〜74歳の医療費負担が本来の2割に戻れば年間で2000億円の財政拠出を抑えられることになります。超高齢化社会を迎え、医療や福祉に多額の予算が必要になってきている昨今、多少なりとも財政拠出が抑えられるのであれば、税負担が増えてきつつある現役世代にとってはいいことかもしれません。

よく話題にのぼる話に「日本の全金融資産の8割を保有しているのは50歳以上」という調査結果があります。

 

 第一生命経済研究所が、2005年7月5日にまとめたレポートだ。それによると、04年度末の個人金融資産約1400兆円のうち、30歳代以下は1割にも満たない。ほとんどが中高年で、うち5割強を60歳以上が占めている。団塊世代を含む50歳以上だと、8割にも達するのだ。現在は、資産総額が約1500兆円に増えているが、担当の主席エコノミストの熊野英生さんによると、こうした傾向は変わらないという。

 (livedoor NEWS“おカネあるのに使わない高齢者 それが若者の低賃金を生む”)

 

 調査自体は9年前の2004年に行われたものなので、仮にこの結果がそのまま9年スライドしているとすれば、60歳以上が8割の金融資産を保有している、ということになるでしょう。

 

「例えば、高齢者が介護、医療などでお金を使わないと、そのビジネスが大きくならず必然的に低賃金になります。高齢者が消費しないと、世代間の所得移転が実現しなくなるということです。つまり、若者にお金が回らないことになりますね」

 (livedoor NEWS“おカネあるのに使わない高齢者 それが若者の低賃金を生む”)

 

 現実問題、高齢者介護施設で働いている介護士の皆様は重労働に見合わない低賃金で働いています(もちろんすべてではないですが)。介護保険法により提供できる人員とサービスが限定されているため、どうしても低賃金にならざるを得ないのです。ですから、そこにお金を使ってもらうことで経済の循環を良くしよう、というのは筋のいい考え方と思います。

対する高齢者の方々にとっては医療費負担が増えることは決して喜ばしいことではありません。反発を招くことになるでしょう。政府もそのことは承知のはずです。当然参院選の票にも影響するでしょう。それでもこのような発言をした、ということは何かウラがあるのでしょうか。

 

さて、少子化、超高齢化を迎え社会福祉制度の充実が求められる日本では、ときおり「税負担は多いけれども社会福祉が充実している北欧諸国」をお手本にしようという声が聞かれます(最近はあまり聞かれなくなってきましたが)。しかし、北欧の福祉制度にも問題が山積しています。

 

たとえばイギリス同様にデンマークでは無料の医療サービスが受けられる。これなどはサヨクが喜びそうな制度だが、問題があるのはイギリスと同じだ。まず待ち時間は例によって異常に長い。そしてまずはかかりつけ医にかからないと専門病院に行くことはできない。かかりつけ医も専門医も不足しているし高齢化が進行しているという。

(BLOGOS“デンマークは幸せな国か?”)

 

といったように、医療費が無料になることはそれだけ人がやってくるということですから、必然的に待ち時間が長くなります。日本でも病院にいくと高齢者の方々が待合室にずらりと並んでいる光景をよく見ますが、それよりも待ち時間が長いのでしょう。

 

少子高齢化は医療が発達し衛生状態がよくなった先進国にとって避けられない課題です。それをどう切り抜けていくのか、政府の手腕が問われるところです。

 

 

【ニュースソース】

「来年度から2割も視野」 70~74歳医療費窓口負担
東京新聞

現在1割の高齢者の医療費窓口負担、早ければ2014年度から2割に
FNN

来年4月から70~74歳医療費窓口負担増も 田村厚労相
SankeiBiz

田村厚労相、来年4月から70~74歳医療費窓口負担増も
MSN産経ニュース

70~74歳医療費窓口負担、来年度にも2割に
読売新聞 

70~74歳の医療費2割負担、厚労相「来春視野に」
朝日新聞