【経済】2013年上期の企業倒産22年ぶりの低水準も地域格差目立つ

東京商工リサーチは8日、2013年上期（1月〜6月）の企業倒産件数を発表しました。調査結果によりますと、前年同期比で10.9％減の5620件。1991年の4723件に次ぐ低い水準となりました。

この原因について、中小企業の資金繰り支援である「金融円滑化法」が3月末に終了したものの、金融庁の方針に従って金融機関による支援が続いているほか、景気の持ち直しを原因にあげているメディアがあります。

中小企業の資金繰りを支える「金融円滑化法」は３月末で期限切れとなったものの、倒産は今のところ増えていない。金融機関が金融庁の指針に沿って中小企業支援を続けているほか、景気が持ち直していることも背景にあるようだ。

（朝日新聞）

一方、金融円滑化法の期限切れにともない、地域によっては資金繰りが苦しくなった企業の倒産が今後増えるとの見通しを示しているメディアもあります。

県内企業（※徳島県）の倒産件数は中小企業金融円滑化法などの効果もあって減少傾向が続いているものの、中小企業の景況感悪化は続いていて今後、倒産件数が増加する恐れもあるとしています。

（日テレNEWS24）

東北の倒産件数は東日本大震災の復興需要のほか、３月末で終了した中小企業金融円滑化法の影響で抑制されてきた。同社は「４月以降も目立った影響は確認されない」とする一方、「余波は徐々に見え始めている」と指摘する。
同日発表した2013年１～６月の倒産件数は193件で、前年同期比で12％増加した。負債総額は36％減の417億4700万円となった。建設業が最多の48件で、宿泊や飲食など「サービス業他」が46件で続いた。同社は「倒産件数は12年を底に緩やかに増加していく」とみている。

（日本経済新聞）

民間調査会社の東京商工リサーチ静岡支店が５日発表した２０１３年上半期（１〜６月）の県内企業倒産件数（負債総額１千万円以上）は、前年同期比２４件増の１８４件だった。４月から３カ月連続で月間倒産件数が３０件を超えるなど増加傾向にある。負債総額は１０・２％増の３９７億７８００万円に上った。

（静岡新聞社）

また、同法の期限切れに加え、急激な円安による原材料コストの増加で金融円滑化法でこれまで目立たなかった中小零細企業の倒産が増加する可能性があるとの見方も出ています。

大企業を中心に業績改善が進んでいるものの、中小零細企業では円安による輸入原材料のコスト上昇を販売価格に転嫁できず、収益が圧迫される恐れがなお残っている。同社では「企業倒産は秋口まで一進一退をたどり、金融機関の貸出態度の変化次第では増加に転じる可能性がある」とみている。

（日本経済新聞）

全体的な印象としては「倒産が減った」というよりも金融支援等により「倒産が抑えられた」とする見方の方が強そう。朝日新聞のように今回の倒産件数減少をアベノミクス効果としているメディアもありますが、安倍政権が発足してからまだ半年。企業倒産の原因（資金繰りの悪化、売上低迷など）はもっと以前から根深くあったでしょうから、わずか半年の経済政策でそこまで状況が劇的に改善したとは考えにくいと思います。

私個人としては、現在はまだまだ経済再生に向けた下準備の段階と思っています。円高是正とデフレ脱却が数値として見えてきていても、雇用と消費が回復しなければ本当の意味での経済再生とは言えません。今後の動向に注目したいと思います。

※ちょっと気になったところとして、日頃自民党を批判する立場に回ることの多い朝日新聞が今回の調査結果を持ち上げているのに対し、自民党よりの報道をすることの多い産経が暗い見通しを示しているところ。なにかウラでもあるのでしょうか。

【ニュースソース】

企業倒産、前年同期比で１割減県内上半期・東京商工リサーチ調べ
 下野新聞

１３年県上半期倒産件数前年同期比９・９％減
 神戸新聞

上半期の県内倒産１８４件円滑化法終了で増加傾向
 静岡新聞社

上期倒産件数、２２年ぶり低水準＝商工リサーチ
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

トピック:負債総額、平成で最少／福岡
毎日新聞

企業倒産22年ぶり減
 テレビ東京

倒産した企業5620件バブル期以来の少なさに…
テレビ朝日

2013年上半期の倒産件数、22年ぶりに6000件を下回る…東京商工リサーチ
レスポンス

倒産件数・負債総額３カ月ぶりに下回る（徳島県）
日テレNEWS24