【国際】中南米諸国がスノーデン氏の亡命受け入れを表明、その思惑は?
米国国家安全保障局(NSA)の個人情報集問題を暴露したとして米国当局に訴追されている元CIA職員、エドワード・スノーデン氏に新たな展開です。これまで20カ国以上に亡命申請を行い、欧州のイタリアやフランス、その他ブラジルやインドから拒否されていました。報道も少なく、このままフェードアウトしていくかに見えましたが、ここへきて中南米のベネズエラ、ニカラグア、ボリビアから亡命受け入れの表明が出されました。
ベネズエラとニカラグアは5日、ボリビアはそれに続く6日に声明を発表しています。キューバもこれらの国と同調する姿勢を見せています。いずれも反米勢力が政権を握っている国です。
「真実を明らかにした若者を、世界で最も強権的な帝国主義の迫害から守るためだ」
(日テレNEWS24)
ベネズエラのマドゥロ大統領はこのような声明を発表、反米活動のカードとしてスノーデン氏を利用しようと考えているようです。
ただ、こうした国々の多くは、「口では反米主義を唱えながらも、米国との密接な経済関係に悪影響が出ることを懸念している」(外交筋)のが実情だ。
例えば、ベネズエラにとって米国は主要な石油輸出先で、最大の貿易相手国。エクアドルもスノーデン容疑者を受け入れた場合、マグロやバラなど対米輸出品計247品を無関税、もしくは低税率で輸出できる米国の関税優遇措置が打ち切られる可能性もある。(MSN産経ニュース)
しかし、MSN産経ニュースが報じているように、今回スノーデン氏受け入れを表明した各国は経済的に米国に依存しているところもあり、亡命受け入れが経済に影響を与える可能性があるとして懸念される見方もあります。
また、スノーデン氏がモスクワを脱出できるかどうかについても疑問が残ります。
しかし、モスクワの空港に滞在しているスノーデン容疑者が脱出できる見通しは立っていない。モスクワから中南米へ向かう一般的な航空路は、欧州で米国の同盟国の領空を通過する。同容疑者がモスクワを出発したと察知すれば、米国は同容疑者を拘束するため、各国に搭乗機の通過を認めないよう求める可能性がある。
(読売新聞)
モスクワから中南米に育には欧州領空を通過しなければならず、その際に拘束される可能性が非常に高いというのです。亡命受け入れを表明した各国も具体的にどのようにスノーデン氏を受け入れるのかまでは言及しておらず、MSN産経ニュースが報じているように今回の受け入れ表明がポーズだけだとすれば、このような事情を理由に「亡命受け入れできない」という結果になる、というシナリオも考えられます。
いずれにせよ、スノーデン氏は自身の当初の思惑から大きく外れて反米各国の外交カードとして利用されるようになってきました。氏自身はいま、どのように感じているのでしょうか?
【ニュースソース】
ベネズエラ大統領、スノーデン容疑者の亡命受け入れを表明
AFPBB News
ベネズエラとニカラグア、元CIA職員の受け入れを表明
J-CASTニュース
CIA元職員:政治亡命 ベネズエラが受け入れ公式表明
毎日新聞
ベネズエラなどがCIA元職員受け入れ表明
日テレNEWS24
ベネズエラ、CIA元職員の亡命申請受け入れ表明
TBS News
ベネズエラ、CIA元職員の亡命容認 ニカラグアも同調
朝日新聞
ベネズエラ大統領 CIA元職員の亡命受け入れ表明
スポーツニッポン
米政府機密情報暴露 ベネズエラが元CIA職員の亡命受け入れ表明
FNN
ベネズエラが受け入れ表明 CIA元職員の亡命
47NEWS
マドゥロ大統領、受け入れ表明=元CIA職員の亡命申請-ベネズエラ
時事通信
ベネズエラ、スノーデン氏の亡命受け入れを表明―ニカラグアも
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版
CIA元職員 ベネズエラ受け入れ表明 ニカラグアも「用意」
東京新聞
ロシア要人「南米へ亡命支持」 CIA元職員が申請
日本経済新聞
対米交渉カードに…でも経済影響心配 ジレンマ中南米諸国
MSN産経ニュース
ボリビアも受け入れ表明 スノーデン容疑者の亡命
47NEWS