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【ビジネス】食品スーパー「税抜き価格表示に統一」、値上げ誤解を回避

日本スーパーマーケット協会は28日の総会で、来年4月から実施される予定の消費税増税以降、商品価格を税抜き価格(外税)表示に統一する方針を固めました。商品価格は々でも税込み価格(内税)表示のままだと値上げしたと誤解を招く可能性が高いためです。

例えば税込みで525円の豚肉。これまでは内税表示だったので、商品価格500円に5%の消費税25円が上乗せされた525円と表示されていました。税率が8%になると消費税は40円になりますから、内税表示だと540円になります。価格変動に敏感な方々にとっては一瞬、15円の値上げになった、と感じるでしょう。この一瞬のためらいが、消費行動を抑制するきっかけになり得ます。

スーパーマーケット協会はこうした消費行動の抑制を回避すべく、増税後は税金を上乗せしない外税表示、つまり例に挙げた豚肉だったら500円と表示されることになります。この商品を手にとった消費者はどう考えるでしょうか?

 

増税したのに価格表示は525円から500円になっている。豚肉はいくらか安くなったに違いない、と考えて手にしやすくなるでしょう。しかし、ぱっと見えた数字の印象が強いため、レジにもっていった際に表示価格に税金分を上乗せされると、「表示価格と違う」とクレームに発展しかねません。どんなに「外税表示にしています」と周知したところで、こうしたクレームを防ぐことは難しいでしょう。

 

とはいえ、総額表示はすでに定着しており、「税抜きだけでは、いくら払うかすぐに分からない。消費者に不親切だ」(大手スーパー)との声も強い。イオンやセブン&アイ・ホールディングスは「対応を検討中」とし、これら大手スーパーやコンビニの業界団体は態度を決めかねている。「税込み」と「税抜き」の併記を探る動きもある。

(朝日新聞)

 

と混乱をきたす可能性を考慮して対応を検討する企業もみられています。

税抜き価格表示をしたいのは企業側の都合、税込み価格表示をしたいのは消費者側の都合、というところでしょうか。お互いのメリットが合致する点は、朝日新聞が報じているような税込み価格と税抜き価格の併記方式かもしれません。そうなると価格ラベルを大きくする、ラベル印字を2回やる、といったコストが増えてくることになるでしょうけれども。

 

税込み価格表示はいまから9年前の2004年4月から税込み価格表示が義務づけられています。その表示義務も今回の増税で2017年までは税抜き価格表示も認めるとの特別措置が出されました。

 

こうした状況にどのように対処したら良いでしょうか。それを考える上で、経済に行動心理学の面からアプローチした「行動経済学」を勉強することをおすすめしたいと思います。

行動経済学とは、従来の経済学が前提としていた「人はみな経済的に合理的な行動をとる」ことに疑問をもったことを発端とし、人の経済行動を心理学的に分析することでより現実に即した経済の実態を捉えよう、という試みです。従来の経済学は政策立案などのマクロ経済には向いていましたが、価格決定などのミクロ経済には向いていませんでした。今回取り上げた増税による価格表示の変更についても、行動経済学的な観点から分析することで、最良の答えが見つかるかもしれません。

 

 

【ニュースソース】

食品スーパーの業界団体が「税抜き表記」一本化決める
MSN産経ニュース

消費増税時の食品スーパー「外税表示に統一」 JSA会長
日本経済新聞

食品スーパー、税抜き価格へ 消費増税で値上げ誤解防ぐ
朝日新聞