【ビジネス】納入業者に大手からの実質値下げ要求が明るみに、消費税増税を控え
公正取引委員会は28日、小売業者が取引のある納入業者に対して消費税増税を理由に値下げ要請を行っていた、とする調査結果を発表しました。要請を受けたのは納入業者1万8971社のうち5%にあたる1037社。さらにそれが消費税増税を理由にしたものだったのは117社でした。
具体的には「商談で『税率が8%になっても仕入れ価格を変える方針はない』と言われた」「『税率引き上げ後も商品の販売価格を据え置く。納入業者の協力で実現したい』と要請を受けた」との回答があった。
(日経新聞)
各紙報じているように、一部の小売業者が納入業者に対し価格の据え置き、つまり実質的な値下げを要求した、と報じています。これは利益確保のため増税分を納入業者に転嫁する行為にあたりますが、今年10月に施行される消費税転嫁特別措置法では、このような価格転嫁は禁じられています。
公正取引委員会は、特別措置法の施行前であっても、こうした行為は優位な立場を使って不当な要求を行うことを禁じた独占禁止法に違反する可能性があるとして、今後さらに情報を集めるとともにスーパーや百貨店などの業界団体に対してもこうした行為を行わないよう要請することにしています。
(NHK)
NHKが報じているように、消費税転嫁特別措置法の施行前であっても、公正取引委員会は独禁法違反を検討する方針のようです。
消費税増税の影響がすでに出始めている様子。今回の調査結果では消費税が理由にされたケースが117社、調査対象約2万件のうちのおよそ0.5%と決して多くは見えません。ただ、増税前にすでにこういった動きがある、ということは注視しておくべきでしょう。
一般市民からすると、払う税金はなるべく少ない方が良い、というのが率直な感情と思います。一方で、企業側としてはなるべく利益を多く確保したい。そのせめぎ合いが発生してきているようです。
【ニュースソース】
117納入業者「消費増税理由に値下げ要請受けた」 公取委調査
日本経済新聞
消費増税を控え買いたたき懸念 公取委が緊急調査
SankeiBiz