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【国際】米国民の半数が核削減に反対、オバマ大統領の核兵器削減方針を受け

米世論調査会社ラスムセンは28日までに、米国が保有する核兵器削減に対し、国民の50%が反対している、との世論調査結果を発表しました。核兵器削減に反対しているのは27%。オバマ大統領の核兵器削減の方針に対する反発があることを明らかにしました。

 

オバマ大統領は6月19日、ベルリンのブランデンブルグ門での主要外交演説で核兵器削減を訴えました。

 

オバマ大統領は世界の核弾頭の規模削減を自らの政権の優勢課題にしてきた。しかしこの努力は2010年「新START条約」以降、停滞した。オバマ大統領は同条約を批准させるのに苦労した。米議会の共和党は、コストのかかる核近代化プログラムを要求し、弾頭の追加削減には反対する姿勢を明確にした。
一部の欧州当局者は、ロシアが対等な弾頭削減に応じないだろうし、戦術核弾頭の削減には抵抗するだろうと懸念している。米軍備管理協会(ACA)の分析によれば、ロシアは戦術核兵器を約2000発保有しており、その多くは旧式の海軍・防空システムに装備されている。

(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版)

 

ウォール・ストリート・ジャーナルが報じたように、オバマ大統領は核削減を優先課題としてきました。しかし、昨今のシリア内戦などを受けてロシアとの緊張が高まる中、核兵器削減には抵抗があります。

 

大統領の、満を辞しての演説の中心的な内容は、「核兵器の削減」。当時、ケネディ大統領が、「アメリカは核によってあなたがた(ヨーロッパ)を守る」と語って喝采を浴びたことを振り返れば、隔世の感があると、各紙は指摘した。

(ニュースフィア)

 

ニュースフィアが分析するように、米露冷戦まっただ中の頃は、核兵器こそが平和を守る手段であるとされ、欧州でもそれが受け入れられていました。冷戦が終結したとはいえ、米露関係は昨今ふたたび悪化してきています。その上での核兵器削減要求ですから、単純に人道的な面で訴えても効果は薄いでしょう。

 

ウォール・ストリート・ジャーナル紙の指摘によれば、ロシアでは、自国が通常兵器を大幅削減した一方で、米国の通常兵器が強大化していることや、米国のミサイル防衛(MD)計画に対する警戒心が増大している。そのため、防衛態勢において大きなウェイトを占める核兵器の削減に応じにくい状況だという。実際、プーチン大統領やロゴジン副首相はこうした点を指摘し、オバマ大統領の提案を「受け入れがたい」とする態度を表明している。

(ニュースフィア)

 

また、核削減を訴えながら、米国自身は通常兵器を強化していることも問題です。オバマ大統領の提案は「こっちは武器をもつけどお前は武器をもつな」という一方的なものと受け取られても仕方がないのです。

 

冒頭の世論調査結果である核兵器削減反対が50%、という数値はとても示唆的です。多くの米国市民が米国は軍事大国であり、軍事力を弱めることは自分たちの身を危険にさらすことにつながる、と感じているのでしょう。もしオバマ大統領が核兵器削減を世論に受け入れられながら実行するためには、そうした米国市民の感情を考慮しなければなりません。

 

 

【ニュースソース】

米国民、核削減に半数反対 賛成は27%
東京新聞

米国民、核削減に半数反対 賛成は27%
47News

核削減に半数反対
swissinfo.ch

米国民、核削減に半数反対 賛成は27%
日経新聞

なぜ今?オバマ「核削減」提案を海外紙が厳しく分析
ニュースフィア

オバマ大統領、核兵器削減で新提案へ−きょうベルリンで演説
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版