【政治】復興予算の流用問題、1000億円の返還要求へ
東日本大震災の復興予算流用問題で、財務省と復興庁は配分した1兆2000億円のうち、まだ使われていない1000億円の変換を求める方針を固めたことを、政府関係者が22日、明らかにしました。
流用されたのは全国の自治体や公益法人が作った16の基金。通常の復興予算で流用が発覚したものは執行停止されましたが、基金を通して配分された予算は凍結されませんでした。その結果、大半が震災復興とは関係の薄い事業に使われることになったようです。
復興予算をめぐっては、被災地と関係のない事業に流用されているとの指摘を踏まえ、民主党政権時代に一部が凍結された。ただ、自治体などが運営する基金は凍結されず、流用が指摘されていた。
(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版)
基金を通じた流用を巡っては、厚生労働省の「震災等緊急雇用対応事業」をもとに、山口県がゆるキャラ「ちょるる」を使った観光PRで、11年度に約1400万円を支出して男女20人を雇用。12年度は約2300万円を支出して男女74人を雇用した。山口県によると、延べ94人のうち被災者はゼロだった。
(毎日新聞)
といったような事例もあったようです。
こうした予算の返還要請は異例の事態です。この要請自体は法的拘束力がないため、どれくらいが返還されるか、という点について意見が分かれるところです。
残る約1000億円が実際にどれだけ返還されることになるかは不透明。政府の要請に法的な強制力はなく、自治体や公益法人に自主的な返還を求めることになる。
(日経新聞)
要請に法的拘束力はないが、問題視された経緯を考慮して自治体側は応じるとみている。
(毎日新聞)
日経は「返還は不透明」、毎日は「返還に応じる可能性が高い」とし、ややトーンの異なる書き方をしています。これに対し、朝日新聞は政権批判を強めるような書き方になっています。
東日本大震災の復興予算が自治体などの「基金」を通じて被災地以外に流用されている問題で、1兆円を超える予算のうち政府に返還されるのは約1千億円にとどまることが22日、わかった。対応が後手に回り、すでに大半が使われてしまったためだ。
(朝日新聞)
他紙が「政府が返還を要請する方針を固めた」というところに焦点を当てているのに対し、朝日は「1兆2000億円のうち、1000億円しか残っていない」というところに焦点を当てています。
自民党批判の色の濃い朝日新聞。この書き方ですと、流用される前に止められなかった現政権が悪い、というようなトーンですが、そもそも簡単に流用されるような仕組みを作ったのは民主党であったことを忘れてはいけません。
【ニュースソース】
1000億円返還要請へ 復興予算使途問題
日刊スポーツ
政府、復興予算の返還要請へ 未執行分の1000億円
日本経済新聞
東日本大震災:復興予算1000億円、返還要請 未執行分巡り通達 財務省など方針
毎日新聞
復興予算の返還要請=未執行分1000億円—政府方針
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版