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【国際】米国家安全保障局が市民の通話履歴を極秘収集

米国の国家安全保障局(NSA)が、米携帯電話最大手のVerizonから利用者の通話履歴データを提出するよう求めていた、と英国のガーディアン紙が5日に報じました。米国の政府高官は「テロの脅威から国を守るための非常に重要な手段だ」と通信履歴収集の事実を認めています。

 

ベライゾンへのこの命令は、FISA(Foreign Intelligence Surveillance Court。外国諜報活動調査法によって作られた秘密連邦裁判所)が4月25日付で出したもので、ベライゾン加入者のすべての通話情報(双方の電話番号、位置情報、通話のあった時間、端末の個体番号など)を、FBIが制限なしに調べることを7月19日までの期限付きで認める内容となっている。ただし、通話の中味は含まれないという。(WirelessWire News)

 

収集されたデータは「誰が、誰と、いつ、どこで通話したか」であり、通話の内容までは収集されていない、としています。「テロリストらが特に米国内のテロ活動に関与している可能性のある人物と接触したかどうか」を調べるのが目的なのだそうです。

 

米市民団体は「テロ捜査のため、罪のない市民数百万人の通話を調べるのはとても正当化できない」とオバマ政権を追及する構えを見せている。日経新聞

 

日経新聞が報じているように、この事実に対してプライバシーや自由を侵害するものである、という批判が持ち上がりそうです。

と、ここでふと思い出すのが、2001年9月11日に米国で発生した同時多発テロ。今回の通話履歴収集はその根拠を「愛国者法」に求めていますが、その愛国者法は9.11の45日後に成立したものでした。

 

2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件後45日間で成立し、米国内外のテロリズムと戦うことを目的として政府当局に対して権限を大幅に拡大させた法律である。この法律において電話やEメール、医療情報、金融情報や他の記録について当局に対し調査する権限を拡大し、アメリカ合衆国国内において外国人に対する情報収集の制限に対する権限を緩和し、財務省に対し金融資産の移転、とりわけ外国人や外国法人について規制する権限を強化し、テロに関係する行為をとったと疑われるものに対し司法当局や入国管理局に対し入国者を留置・追放する権限を高めることを規定している。さらに、「テロリズム」の定義を拡大し「国内テロ」をも含め、その結果本法は司法当局の拡大された権限を行使する場面が飛躍的に拡大しているWikipedia

 

Wikipediaの記述にあるとおり、愛国者法は政府当局の権限を大幅に拡大したものであり、テロリスト捜査に関することであれば捜査権限は大きくなっています。愛国者法成立の翌年、ギャラップ社の調査によると、「2002年の1月では47%のアメリカ人はたとえ市民の自由が減少しても政府にテロの減少を求めていた」とあり、テロ対策のためならば多少の制限はいとわない、との世論が広がっていました。

 

それから10年以上が経過した今、当時とは状況が大きく変わってきています。愛国者法への不満も持ち上がってくるでしょう。もしかしたら今年の4月15日に発生したボストンマラソンの爆発テロが何かしらの影をおとしているのかもしれません。

 

 

【ニュースソース】

アメリカ国家安全保障局、Verizonの全通話記録を秘密裡に収集(ガーディアン報道)
TechCrunch

ベライゾン加入者の通話記録、米国家安全保障局の手に - 「極秘の命令」発覚(英Guardian)
WirelessWire News

米国家安全保障局、通話記録をベライゾンから極秘に収集
朝日新聞

大手回線の全通信記録収集=秘密裁判所が提出命令-米NSA
時事通信

米当局が市民の通話履歴を収集 英紙電子版、数百万人が対象
MSN産経ニュース

米で市民の通話履歴収集 英紙報道、数百万人が対象
日本経済新聞

米政府 数百万人の通話記録調査か
NHK